Good old fashioned lover boy
第9章 輝ける者の秘密
「知りたいですか?」
私が頷くと彼は先ほどの続きを話してくれた。
「外ではいじめられ、家の中では暴力を振られて居場所が無かった僕はこのままずっと一人ぼっちなのだと感じていました。
でも、それはあることがきっかけで消え去ったのです。」
「きっかけ?」
「ある日、学校から家に帰る途中に僕は石壁の影で血だらけの状態で倒れた男性を見つけました。
普通ならそのような人を見つけたら、子供は大人に助けを求めますよね?」
確かにその発見者が子供だったら彼が話した通りのことをするはずだろう。
しかしこの話し方からすると「彼」はそれとは違う行動をとったのだろうと私には推測できた。
「貴方は大人に助けを求めなかったの?」
「えぇ、僕はこの男性を見た時に自分と同じく一人ぼっちなのだと感じたのです。
当時の僕はこの人には何か言えない事情があるのだと思ってその男性を隠すようにスタンドで周りを雑草で覆いました。」
「その時からスタンド能力を?」
「多分その頃から僕は今のような力があったのかもしれません。
その後に男性の行方を探しているであろう複数の男達がやって来ました。
僕にその方がどこに逃げたのかと尋ねてきましたが、とっさに嘘をついて男達をまいたのです。」
「じゃあその男達は貴方が匿った彼を殺そうと…?」
「今思うとそうかもしれませんね。
そしてその出来事が2ヶ月後に男性は僕の元を訪れてお礼の言葉をくれました。
僕は生まれて初めて人から感謝されるというものをそこで経験しました。
それからは義父の暴力はパタリと収まり、映画館に行けば僕をいじめてた子供達が席を譲ってくれるようになったのです。」
「普通」だったら人助けをした場合はその場で礼を言われて終わるか、または何かを介してお礼を受けることがほとんどなのかもしれない。
しかし、この街には「例外」があり「彼」にはそれがあって今の人生があると言っても過言ではない。
「その男性ってもしかしてギャング…。」
私がその言葉を出すと彼はゆっくりと頷いた。