Good old fashioned lover boy
第9章 輝ける者の秘密
「…それからはテレビのチャンネルをザッピングするみたいに映像が流れたの。
ずっと火が灯ってる銀色のライターや仲間であろう青年達との戦い、そして玉座についたうら若き青年…。
私の瞳には貴方がそうやって見えました…。
自分の力がどれだけ残酷なものなのかがよく分かります。
この力のせいで他の誰かが傷ついてしまうなんて…。」
さっき引いたはずの涙が再び溢れようとしてる…。
私は絡めていた「彼」の指をギュッと握って涙が出てくるのを抑えていると「彼」が同じくらいの力で私の指を握り返してきた。
「そんな事は言わないで。
貴女は、悪い魔法使いに利用されてしまった囚われの姫君です。
本当の貴女は人を笑顔する力を持つ素晴らしい女性だ。
…僕の秘密をも見抜いてしまうくらいにね。」
「秘密?」
「えぇ、僕はずっと一人ぼっちだったんです。
ジャポネである母親はまだ幼い僕を置いて夜の街にくり出してて、僕はずっと真っ暗な部屋の中でずっと震えていました。
幼い子供にとって母親がいない状況がどれだけの恐怖なのかはまともな人間だったらよく分かるはずです。
その後、母親はイタリア人の男と再婚して4歳の頃にここへやって来ました。
でも、イタリアに来てからは義父からの暴力を受け街の悪ガキからも理不尽ないじめを受けるようになりました。
それもあってその頃の僕は人の顔色をうかがうような性格になってしまったのです。」
彼の口からこんなにも悲しく辛い過去があったなんて想像も出来なかった。
他者から見たら神様に望むものを幾多も与えられたように見えるのに…。
でもどうしてそんな青年がギャングの世界になんか飛び込んだのだろう…?
「あの、どうして貴方はギャングの世界に飛び込んだのでしょうか?」
すると「彼」はフフッといたずらっ子のような笑みを浮べた。