第3章 答え合わせと、これからの話。
「お前ホントに幸せそうにメシ食うなぁ~」
もぐもぐとオムライスを口いっぱいに頬張る姿はまるでリスのようだ。こんな風に食べてくれると俺も作りがいがあるってもんだ。
あっという間に平らげると、コップに入った水を飲んで、ふぅっと息を吐いた。そして思い出したように紙とペンをテーブルの上に出して何か書いて、それを俺に向かって見せた。
『すっごく おいしかったよ さっち まほうつかい みたいだった』
「…お前、魔法使いとか何処で覚えたんだ?」
子供らしいストレートな褒め方をされて、何だかむず痒い。
でも、嫌な気はしない。
『まるこも まほうつかい?』
これもと言うように、自分の手足にまだ所々巻かれている包帯を指さした。
「あー…そうだな、マルコも魔法使いだな」
実際、そこまで嘘ではないと思う。マルコが使う青い炎は、再生速度を上昇させる。それは悪魔の実の能力ではあるが、何も知らない一般人が傍から見たら、魔法と思われてもおかしくないだろう。…本人はそう言われるのは嫌がりそうだけど。
『まるこ いつかえってくる?』
「心配すんなって、今日中にはちゃんと帰ってくるよ」
それを聞くと何か考えるような素振りを見せ、新しく文字を書いた紙を見せてきた。
『まるこの おむかえ いきたい』
「お迎え?何処に行ったかわかるのかお前?」
『わかんないけど たぶん わかる』
何だそりゃ、わかんないけどわかるって…動物の勘みたいな、そういう事か??
『だめ?』
しゅんとしながら聞いてくる少女の顔を見たら、休んでないとダメだと強くは言えず、どうしたもんかと考えていると、急に目の前の少女がピクリと身体を強ばらせた。
「?どうかしたか?」
その言葉と同時に食堂の扉が開いて、この船では数少ないソプラノの声が響いた。
「サッチ隊長?ここにいたんですか?」
入ってきたのはナースの内の1人。
「おう、ちょっとコイツにメシ作ってたんだ」
そう答えると、ナースは不思議そうに俺の向かいの席を見つめてこう言った。
「誰もいませんけど…?」
「は?何言って…」
いやいやちゃんとここにいるだろ、ガキの癖に目付きが鋭い、ちっこい野生児みたいなのが……
そう思いながら顔を向かいの席の方へ向けると、そこはもぬけの殻だった。
「はァ!?どこいったアイツ!?」