第3章 答え合わせと、これからの話。
白いごはんは、初めてこの船で食べた物と多分同じ。
それを大きな器に入れると、他にも色んな物を混ぜ始めた。
赤、緑、オレンジ。
ジュワジュワ音が鳴る黒い器の中から、段々美味しそうな匂いがしてくる。
すると今度は卵を割ってかき混ぜた物を、もう1つの大きな器に入れて、ご飯の入った大きな器の隣に置いて火をつけた。
ジュワジュワ ジュージュー
じっと見ていたら、段々ぷくぷく膨らんできた。
所々つやつや光って、ふわふわしていて、思わず触りたくなってしまう。でもここから手を伸ばしたらサッチに怒られるから、ぐっと我慢。少しでも良く見えるようにと、ちょっとだけ背伸びした。
「ん、こんなもんかな」
お皿に丸く盛り付けられたご飯は、色とりどりの野菜とお肉が入っていて、見ただけで何だかわくわくしてしまう。
その上に隣で作っていた卵をそっと乗せて、ナイフで卵にスっと切れ目を入れた。
綺麗に開いたふわふわトロトロの卵に、一気に目を奪われる。
最後にケチャップをかけて、テーブルに置いてくれた。
「ホラ、おまちどーさん。熱いからゆっくり食べろよ~」
色とりどりのごはんをトロトロの卵で包んだソレは、目の前でキラキラ輝いていて、綺麗な宝石のよう。私は暫くそれから目が離せなかった。
手にスプーンを持ったはいいけれど、崩してしまうのが勿体なくて中々食べられない。けど、食堂に漂う美味しそうな匂いのせいで、私の空腹も限界だった。
意を決してスプーンでご飯を掬うと、そこから食欲を増す匂いが溢れ出してきた。スプーンからはトロトロの卵が零れ落ちそうで、急いで口の中に入れた。
瞬間、初めて口の中に広がる味に衝撃を受けた。
トロトロで、ふわふわで、すぐにとろけて無くなってしまう。
(何これ…何これ、何これ……!!…とろとろ~~~…!!)
「どうだ?美味いか?」
サッチがニコニコしながら聞いてきて、思わず首を何度も縦に振って、もう一度スプーンで掬って口に運ぶ。
(……とろとろ~~~……!!!!)
こんなに美味しいものを食べたのなんて初めてだ。
ほっぺがとろとろ溶けてしまいそうで、思わず両手を当てながら食べる私を見て、サッチは何だか満足そうに笑っていた。