第3章 答え合わせと、これからの話。
腹が鳴ったことを笑い過ぎて、少し拗ねてしまったようだ。
でもアレはタイミングが絶妙すぎて誰でも笑っていたと思う。マルコでも。
少し膨れっ面の少女の手を引いて食堂まで連れてきて、空いている椅子に座らせる。小さい少女にはまだ少し椅子が高いようで、床に届かない足をプラプラと揺らしながら食堂を見渡している。
「すぐ作って持ってきてやるから、ここでちょっと待っててな~」
食材にはまだ余裕があるし、オムライスでも作ってやろう。多分食べた事無いと思うけど、アレルギーとかじゃなければ大丈夫だろう。
作り始めると、卵をかき混ぜる音やフライパンの油がはねる音に興味津々なのか、いつの間にかすぐ側まで近付いて恐る恐る手元を覗いていた。
「なんだ?気になるか?」
そう聞くとコクコクと首を縦に振って、キラキラした目で俺の顔を見上げた。聞き慣れない音に一々ビクビクしながらも、何が起こっているのか知りたいようで、影から顔を出したり隠れたり。
「うん、わかった、見てていいから、そこにいるのはやめような?危ないから、見るならここからな?」
キッチンには一歩間違えたら怪我では済まない危険が沢山ある。
そっちに目を光らせながら料理するのはまだちょっと怖い。
近くに置いてあった踏み台を持ってきて、調理台が見える位置に少し距離を置いて少女を立たせ、調理を再開した。
踏み台に立つと、目線がグンっと高くなった事が嬉しいのか、目をキラキラさせながらジーッとオムライスが作られていく所を見ている。
いや、思ったよりこれ割と照れる。こんなにキラキラした眼差しを受けるのは初めてかもしれない。
最後にケチャップをかけて完成したオムライスを持ってテーブルに置いて、また椅子に座らせる。
「ホラ、おまちどーさん。熱いからゆっくり食べろよ~」
まるで宝物を見つけたかのような眼差しで、スプーン片手にオムライスを見つめる少女。しかし空腹には耐えられなかったのか、スプーンをオムライスへと落とす。
ぎこちない手つきで何とかオムライスをすくい口の中へと運び、何度か噛んでから飲み込む。
すると少女が驚きの表情で俺の顔を見た。
「どうだ?美味いか?」
スプーンを持ったままコクコクと何度も頷く少女。そしてまたオムライスを口へと運んでいく。どうやら気に入って貰えたようだ。