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名前を探す物語。【ONE PIECE】

第1章 噂話、の筈だった。



島の上空まで来ると、この島ではどんな暮らしをしているのか、島には何があるのかが大体わかる。
見た所、村には人もそれなりにいるが、特に目立った争い事も無さそうで、至って平和な暮らしをしているのだろう。

これなら無事に上陸出来そうだし、物資調達にも問題は無いだろうという事をオヤジに伝えに戻ろうと思った時、例の噂の森が視界に入った。

"凶暴な白い虎が住んでいる"

別に丸ごと信じた訳じゃないが、サッチが言っていた噂の通りなら、その虎は洞窟に閉じ込められて森の外には出られない筈。
閉じ込められたのがいつの話だかは知らないが、もし時間が相当経っていたりしたら、既に死んでいる可能性もある。

ぼんやりとそんな事を考えながら森の上空を飛んでいたその時、森の木々の間から一瞬だけ視線を感じた気がしたが、流石に気の所為だろうと特に気にもとめず、オヤジ達の待つ船へと帰路を急いだ。


「オヤジ、帰ったよぃ」

「早かったなマルコ。次の島はどうだ?」

「特にこれと言って問題無さそうだ。店もあるから食料も物資も大抵の物は置いてあると思う。厄介事がある様には見えなかったし、このまま上陸出来そうだよい」

「そうか、そりゃあ何よりだ。予定通りその島にログが溜まるまで上陸する。買い出し行くヤツら選んでおけよ」

そう言ってオヤジは持っていたジョッキに入っていた酒をグビっと飲み干した。そういえば酒のストックも大分減ってきたから、今回はなるべく多めに買っておこう。
何せこの大所帯だから、酒も食料も減るスピードが尋常ではないのだ。


「そういう事だから、お前も買い出しだよい。行くぞ。」

「は?オレ?マジで?」

「マジだよい。ホラさっさと行くぞ。」

「はぁ~今回荷物多いんだろうなぁ……ま、しゃーない、行くとしますか」

あからさまに面倒くさそうな返事を返してきたサッチだが、そう言えば調味料が足りなかったな…等と呟き始めたから、声を掛けなくても自分から付いてきたかもしれない。
行きたくないと駄々を捏ねる様なら、ログが溜まるまでの間コイツは島に入る事を禁止にしてやろうかと思っていたくらいだ。

「可愛い子いるかな~」

「……それを探すのは後回しにしろよい…」

同じ隊長なのに、何故コイツはこんなにお気楽なのだろう。
前を鼻歌交じりで歩き出すサッチに、溜息しか出なかった。
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