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名前を探す物語。【ONE PIECE】

第3章 答え合わせと、これからの話。



朝食の後、医務室を覗くとベッドはもぬけの殻。目の前の光景を見て驚くよりも、やっぱりかという気持ちが強かった。

(あれだけ懐いてりゃあ、俺じゃまだ役不足かねぇ)

恐らく、というか確実にマルコを探しに行った少女は、そのマルコ本人から、安静にする様にと言われている。
昨夜マルコが俺に面倒を見るよう頼んできた時の少女の様子を見た時から、なんとなくこうなる事は予想していた。

俺も嫌われてはいない筈だが、少女にとってはマルコが今一番信頼のおける相手だという事は明らかだった。

(まだ本調子じゃなさそうだし、早目に連れ戻して寝かせないとな…)

もし知らない場所で倒れたりなんかしたら大変だし、その場合俺の監督不行届でマルコにドヤされるのは確実だ。
小さく溜息をついて顔を上げると、視界の端で見覚えのある白い毛布が揺れた。

「あ、ちょ、待てって!」

歩幅も体力も俺の方が有利な筈なのに、ちょこまかと素早く移動してすぐ姿を見失ってしまうのは、ネコ科能力者故か、森での暮らしで身についた術なのか。

「おい聞こえてんのか!?待てって!とーまーれ!」

声を掛けながら追い掛けるが、俺の声は届いていないようで、早足で通路を駆けていく。

しかし、こういう時に限って事故が起こる。

急いでいて足元の注意が疎かになっていた為、転がっていた酒瓶に気付かず思い切り爪先をぶつけてしまい、突然の痛みに思わず足を抱えてしまった。

誰だこんな所に酒瓶を放置したのは。今度飲みっぱなしで放置する奴を見つけたら絶対に片付けさせよう。
そして痛みに気を取られた隙に、遂に見失ってしまった。

もうこの先の通路と部屋を手当り次第に見て回るしかないかと思ったのだが、もしやと思って最初に覗いた通路の先に少女がいた。

「あっ!いたァァァ!!コラッ!」

相変わらず俺の声は聞こえていない様で、完全に無視。オヤジが居る場所へ続く扉を開けて様子を伺っていたが、スルッと中に入っていってしまった。
それを見て慌てて追い掛けるが、さっきぶつけた爪先が傷んで走るのが辛い。漸く扉まで辿り着いて、少女に向かって叫ぶ。

「お前まだ寝てないとダメだって!マルコに見つかったら俺も怒られ…あ。」

目線の先にはオヤジと、呆れた顔のマルコ、そしてマルコの足にくっつく少女。

…取り敢えず、怒るのは俺の言い分も聞いてからにして欲しい。
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