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名前を探す物語。【ONE PIECE】

第3章 答え合わせと、これからの話。



「で、結局そのチビはどこのどいつなんだ?まさか本当にお前の子供な訳じゃねェんだろ?」

そんな事わかっている癖に、ニヤニヤと笑いを堪えながら聞いてくるオヤジも大概意地が悪い。

「この島の噂話の正体って言えばいいんだろうけど…ちょっと厄介な話が絡むかもしれなくてよい…」

そして村で聞いた噂話、昨夜森であった出来事、少女が能力者である事、今分かっている事を全て話した。

「…確かに悪魔の実の能力が2つあるとは考えにくい。それに俺も吸血鬼やらが居るなんて話も今迄聞いた事がねェ。それならソイツが悪魔の実を食べる前に、誰かに"化物にされた"って事じゃねェのか?」

「誰かに、化物に"された"…?」

サッチがそう言うと、少女は俯いたままカタカタ震えていた。
あぁ、やっぱりそうか。多分、俺のこの予想は大体当たりなんだろう。

「って事はやっぱり、人体実験でもされてたって事かよい…」

「成功するかどうかは別として、どの時代でもそういう馬鹿げた事をやるアホンダラが少なからずいるんだよ。多分その実験に巻き込まれて他人の血を吸うようになっちまったってのが一番有り得そうな話だと思うけどなァ…それは本人に聞けば一番早いじゃねぇか」

震え続ける少女の額からはダラダラと冷や汗が流れて、立っているのが精一杯という様子だった。

「多分それが原因だとは思うんだが、コイツ声が出ねぇんだよい。取り敢えず筆談が出来るように少しずつ文字を教えてはいるんだが……」

すると昨日から被ったままの毛布の中に忍ばせていたのか、少女は紙とペンを持ち出し、足元でしゃがみこんで何かを書き始め、その紙を震えた手で俺たちの方に向けて広げた。

『ここから わたしを にがして ください』

確か昨夜サッチが文字を教えた時は、ペンの持ち方も知らなかった筈だ。しかし、既に少女はある程度の文字の読み書きをマスターしたと言ってもいい程の域に達している。

「サッチ、昨夜コイツに何処まで文字教えた…?」

「イヤ、簡単な挨拶くらい…こんな文章書く所まで教えてねぇよ…」

だとしたら、何ていうスピードの記憶力、そして物覚えの良さ。恐らく理解力、頭の回転も相当高いのだろう。
まさか一晩でここまで書けるようになるとは思っていなかったから、俺もサッチも驚きで固まってしまった。

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