第3章 答え合わせと、これからの話。
「オヤジ、今ちょっといいか」
「なんだァマルコ…そういや夜中に出掛けたらしいじゃねぇか、いい女でもいたのか?」
「そういうんじゃないよい…」
誰だそんな事オヤジに言った奴は。ぶっ飛ばすぞ。
「この島の噂話の事で村の人間から調べて欲しいって頼まれて、昨夜はサッチとその確認に森に行ってた。…で、それでなんだけど…」
どう話を切り出せばいいか悩んでいると、オヤジが俺の後ろの方を見ながら何か指さした。
「…おい、そのチビはなんだ?」
「は?チビ……」
まさかと思って振り返ると、そこには医務室で寝ていた筈の少女が、扉の影からこっそりと此方を覗いていた。そして後ろからはサッチが慌てて走ってきているのが見える。
「あっ!いたァァァ!!コラッ!お前まだ寝てないとダメだって!マルコに見つかったら俺も怒られ…あ。」
しまったという顔をしたサッチと目が合い、此方を覗いていた少女の方に目線を移すと、ビクッと体を縮めて隠れようとしているから、言いつけを守らなかったという事は理解しているんだろうが…。
こうなる事を予想しなかった訳では無いが、まさか本当にやらかすとは…と、思わず頭を抱えて溜息が出てしまった。
「あー…ったく仕方ねぇなァ…ホラ、こっち来い」
そう言って手招きすると少し安心したのか、早足で俺の方に来ると、オヤジから少し隠れるように俺の後ろにくっついた。
「悪ぃ、ちょっと目を離した隙に抜け出して…っていうか何かこうなる気がしてた……」
後から追いついたサッチがそう言うと、俺の服を掴む手に力が入った。怒られると思っているんだろうが、思い返せば不安そうな顔をしていたし、来たばかりの知らない場所に置いていかれたのが怖かったのかもしれない。
「…1人で部屋に置いていって悪かった、別に怒ってねぇよい。体の調子悪いところねぇか?」
コクリと頷いて恐る恐る此方の表情を窺い顔を上げると、後ろにいるオヤジと目が合ったのか、ビクッと体を強ばらせた。
「オヤジ、この嬢ちゃん実はマルコの隠し子なんだってよ」
「グララララ!そりゃホントかマルコ!」
「んな訳あるかよい!!サッチ!!テメェオヤジにまで変な事吹き込むんじゃねぇよい!!」
大声で笑いだしたオヤジに更に驚いたのか、俺の足にしがみ付く力が強くなったのがわかった。