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名前を探す物語。【ONE PIECE】

第3章 答え合わせと、これからの話。



気付けば日が昇る時間が迫っていて、サッチは朝食の支度をしにキッチンへと向かって行った。
少女は文字を教わっている内に疲れたのか、ペンを握ったままうつ伏せに寝てしまっていた。

考えてみれば、この島に着いた初日から噂とやらに巻き込まれ、こんなにバタバタするとは思ってもみなかった。
少女を起こさないよう抱き抱えてベッドに運んで布団をかけ直すと、もぞもぞと動いて猫のように丸くなって寝ている。

ベッド脇に椅子を置いて座りながらもう一度さっきの本を読もうと思ったが、一睡もしていなかったのもあってか、そのまま眠ってしまったらしい。
目が覚めると、再び部屋に来たサッチに朝食の時間だと伝えられた。

「朝メシ食ったらオヤジの所行ってそのまま出掛けてくるから、アイツ見ててやってくれよい」

朝食を食べながら、もう一度サッチに今日の事を頼んでおく。
恐らくまだ医務室のベッドで寝ているが、出来れば起きた時に俺かサッチが傍にいた方がアイツも安心するだろう。

「いやそれは別にいいけどって…うーん、どうかなぁ…」

「なんだよい、昨夜はいいって言ってたじゃねぇか」

「…いや、俺の気にし過ぎかもしんねぇし。アイツの事は俺に任せて、マルコは出掛けてきて大丈夫だよ」

何か気に掛ることがあるのかと聞こうと思ったが、昨日の様子ならサッチがアイツと居てくれれば安心だ。

「まだ体力的にも回復してないし、あの様子じゃ急に他の人間に会うなんて出来ないだろうしな。また文字でも教えてやればいいんじゃないか?」

「ん、それもそうだな!割とあの嬢ちゃん物覚え早いんだよ。暫くしたら簡単な筆談位ならすぐ出来るようになるかもしれないぜ?」

そんな会話をしながら朝食を食べ終えて、サッチに少女の事を頼んでオヤジの所へと向かう。
信じて貰えないとは思っていないが、ここまでこの件に手を出した以上、最後まで見届けるのがスジだろうし、オヤジもそう言うだろう。

しかし、俺達はずっとこの島にいる訳じゃない。ログが溜まればまた次の島への航海が始まるのだ。
この島に来て2日目。この島のログは3日あれば溜まるから、早ければ明日中にはこの島を出る事が出来る。

その後、この島に1人残る少女が村人達と一緒に生活出来るかどうかを考えると、正直不安しか無かった。

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