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永遠の恋〜信長の寵妃【イケメン戦国】

第76章 優しい嘘


「も、申し訳ございません…私、あの…」

いつもお優しい信長様の、意外な厳しい口調に気圧されてしまい、なんと言っていいのか分からずに、しどろもどろに言葉を返す。


「お、御館様っ…」

私達の話を傍で黙って聞いていた秀吉さんが、間に割って入ろうと堪らず声を上げたが……

「秀吉っ、貴様は黙っておれ!」
「っ………」

信長様の鋭い叱責に、秀吉さんはぐっと唇を引き結んで黙らざるを得なかった。

「とにかく…この話は終いだ。これ以上、余計な詮索をするでない。分かったな?」

「……はい」


(やっぱり何か事情があるのかしら…あんなに厳しい口調で仰るなんて……)


話の続きを拒むように、再び文机に向かってしまった信長様に、それ以上は声を掛けられず、私は曖昧に挨拶をしてその場を後にしたのだった。



朱里が去った後、その後ろ姿を心配そうに見守っていた秀吉だったが、意を決したように信長に向き合う。


「御館様、先程の話、朱里には本当のことをお話なされては…?」

「……理由など些細なことだ。理由がどうあれ、俺は二人を追放した、そのことだけが真実だ」

「っ…しかしっ、御館様のご真意が誤解されたまま、というのは些か……」

「くどいぞ、秀吉。この話は終いだと言ったであろう。
次の報告はなんだ?早くしろ」

「は、はぁ……」


イライラし始めた信長の機嫌をこれ以上損なうわけにもいかず、秀吉はなんとも言い表せない気持ちのまま、次の報告書を手に取ったのだった。


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