第2章 安土にて
お城に戻って、湯浴みを済ませ一息ついていると、襖の向こうから女中さんの声がかかる。
「朱里様、信長様より『湯浴みを済ませたら今宵天主に参るように』との御命令です」
(天主…信長様のお住まいだよね。湯浴みを済ませて、って…)
自然と火照ってくる頬の熱を、心の中で湯上りのせいにして、急いで身支度を整える。
〜天主にて〜
閉じた襖の前で居住まいを正し、一つ深呼吸をしてから思い切って声をかける。思いがけず掠れた声が出る。
「信長様。朱里です。お呼びと伺い、参りました」
「来たか。入れ」
ゆっくりと襖を開けると、文机の前で書状をしたためる信長様の姿があった。文机の上はうず高く積まれた書類の山が出来ている。
「まだお仕事中でしたか?お邪魔してしまいました?」
「いや、じき終わる。そこで待て。昼間城下に出ておった故、少し政務が溜まっているのだ」
さらさらと書状に筆を走らせる信長様。その真剣な整った横顔に目が離せず、じっと見つめていると、
「そんなに見つめられたら、穴が開くわ」
いつの間にか筆を置いた信長様が、苦笑しながら、顔と顔が触れ合いそうな距離まで近づいてきた。
「あっ、あの。もう少し離れて下さい!近いです」
「ふっ、貴様。今宵天主に呼んだ理由、分かっておろうな?」
次の瞬間、後頭部に手を回して私の顔を引き寄せ、信長様の熱い唇が私の唇に重なる。上唇を舌でチロチロと舐められ、唇で優しく食まれる。
「ん、ふっ、あっ…ん」
頭の奥がジンとなって、無意識に唇から吐息が漏れた瞬間、信長様の熱い舌が口内に侵入し、私の舌を絡め取って舐め回す。
「あっ、やっ…ん…ふぁ」
はしたない声が漏れてしまい、顔が熱くなる。
「貴様の声は心地良いな。もっと聞かせろ」
唇を合わせたまま、信長様の手が着物の袷にかかり、優しく左右に暴かれる。
胸の膨らみにそっと触れられ、びくりと身体が震える。
大きな手が胸をやわやわと揉みしだく。既に少し固く主張し始めた突起をキュッと摘まれて、思わず腰が浮いてしまう。
「っ、やぁん…ダメ…おやめ下さ…い」
「…やめてよいのか?身体はそうは言っておらんぞ」
不敵に微笑んだ信長様は、俄に胸の突起に口付け、チュッと吸い上げる。舌でコロコロと転がしたり、舐め回したり、と胸の愛撫だけで散々に乱されて、涙目になってしまう。