第12章 酒の効用
(だいぶ酔っておるな。
光秀に次々と飲まされていたようだったが……一体どれだけ飲んだのだ……)
濡れた着物を脱がせるため袷に手をかけて開こうとしていると、急に首に腕を巻き付けられて強く引き寄せられる。
そのまま唇を塞がれて深く深く口付けられる。
小さな舌がチロチロと口内を探り、歯列の裏をなぞってくる。
「っ、くっ、朱里??」
唐突な接吻に驚きを隠せず、身体を離して朱里の表情を窺うと、そこには熱に浮かされたような、ゾクっとするほど妖艶な女の顔があった。
「ん、のぶながさまぁ、してぇ」
甘く艶めいた女の声で求められて、男の欲望がぐっと首をもたげて存在を主張したのを感じる。
「くっ、貴様、正気でないのか。俺をそのように煽るとは」
「んんっ、のぶながさまが欲しいのぉ、抱いてぇ」
いつもの朱里なら絶対に言わないような、いやらしい、男を誘う言葉を口にしながら、俺の身体に触れてくる。
どこにそんな力があったのか、俺を褥に押し倒して身体の上に馬乗りになる。
小さな手が俺の着物を乱す。胸元を弄られ、胸の先端にチュッと口付けられて、思いがけず吐息を漏らしてしまった。
跨った拍子に着物の裾が大胆に割れて白い太腿が露わになっていたが、それすら気にならないようだ。
(酒のせいか…このような姿も悪くない。
今宵は貴様の手の内で踊ってみるか……)