第68章 おあずけ
ーゴーン
百八つ目、最後の鐘が鳴ったようだ。
新しい年の始まりを告げる鐘の音を聞きながら、荒く乱れた息のまま、朱里の上へと覆い被さる。
大量の白濁を放った一物は、なおも朱里のナカでビクビクと脈打っている。
それは、最後の一滴まで余すことなく注ぎ入れようというかのようだった。
(…はぁ…このままずっと繋がっていたいっ…)
朱里の熱く柔らかな蜜壺にずっぽりと埋まったままの一物は、射精したばかりとは思えぬほどの硬さと膨らみを、今なお保っている。
このままもう一度……そう思わぬでもなかったが、ぐったりと寝台の上に身を投げ出したままの朱里を見て、己の尽きぬ欲望に胸の内で苦笑いを浮かべる。
(…朱里…俺は、年が明けても貴様への煩悩は一つも払えなかったようだ。貴様は…どうだろうな…)
「朱里っ…大丈夫か?」
耳元で吐息を注ぐように囁くと、固く閉じられていた目蓋がピクリと反応し、朱里は俺の下で微かに身動ぎする。
「っ…ん…信長さまぁ…はぁ…」
とろんと蕩けた妖艶な女の顔で名を呼ばれ、思わずグッと下半身に力が入ってしまう。
「あっ、ああっ…やっ、やだっ…っ…あ、あの、まだ…?」
いまだ繋がったままなことに気づいたらしく、朱里は困惑した表情を浮かべて、微かに腰を引こうとする。
「っ…待てっ…勝手に離れることは許さんっ」
「えっ?ええっ…そんなぁ…」
困ったように眉尻を下げ、微かに頬を赤らめる可愛い姿に、嗜虐心を煽られる。
もっと困らせてやりたい 虐めてやりたい
愛おしいが故に、淫らに壊してしまいたい
(俺は歪んでいるのだろうか…愛しているが故に滅茶苦茶にしてしまいたい、などと……)
「朱里、もう年が明けたぞ」
「………えっ?もう?……気づきませんでした…」
「あけましておめでとう」
「あっ…おめでとうございます……って、こんな時に言わないで下さいよっ!もうっ!」
身体を繋げたまま、くくっ…と笑う信長の下で、真っ赤な顔をした朱里が身を縮こませる。
「今年も俺を愉しませよ…朱里、愛してる」
信長は愛おしげにちゅっと朱里の唇に口づけを落とすと、その華奢な身体を飽きることなく強く抱き締め続けた。