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永遠の恋〜信長の寵妃【イケメン戦国】

第68章 おあずけ


「っ…朱里、そのような薄い夜着では風邪を引く。身体を冷やさぬよう、暖かくしておけ。
くっ…俺は、今宵はもう休む…」

その悩ましい夜着姿を見ぬように、わざと目線を逸らしながら口早に言うと、朱里の返答を待たずに早々と寝台に横になり、背中を向けて目を閉じた。

「えっ、あっ…あのっ、の、信長様っ…?」
(う、嘘っ…なんで〜?)

朱里の焦った声も、最大限の忍耐力で聞こえないふりをする。
不自然に火照った身体は、少しの刺激でも暴発してしまいそうだった。



背中を向けて横になってしまった信長様は、私が何度か呼びかけてみても全然反応してくれなかった。
予想外の結果に頭が混乱してしまった私は、呆然としてしまい、寝台の上にペタリと座り込んだままで、しばらく動けなかった。

(っ…なんで?)

信長様にこんな風に拒絶されたのは初めてだ。
いつだって、求められるのが当たり前になってた。
ここ数日、理由も告げずに夜伽を断る私を、信長様はしつこいぐらいに何度も求めてくれていたから、今日はきっと喜んで下さると思っていた。

でもそれは…私の傲慢だったのかもしれない……

(どうしよう…こんなにわざとらしくしたのがダメだったの?っ…信長様っ…呆れられちゃったかな、私…)

どうしようもなく不安で悲しくて、信長様に触れたくて堪らず、その背中にそっと手を伸ばす。

けれど、触れて、もし拒絶されたら…そう思うと、後少しのところで手が止まってしまい、どうしても触れられなかった。

「っ……」

行き場のない想いを抱えたまま、そっと寝台に身を横たえる。
信長様の隣に…触れそうで触れないぐらいの距離を空けて…背中を向けて横になると、すぐ傍にいるはずの信長様が、ひどく遠くに感じてしまった。

鼻の奥がツンっと痛くて目蓋が震えるけれど、涙が溢れないようにと、グッと唇を噛んだ私は、掛け布団の中で隠れるように小さく丸まって眠りについた。


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