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永遠の恋〜信長の寵妃【イケメン戦国】

第67章 秘密の宴


信長様の苛立ちを感じ取った私は、それ以上抗うことも出来ず、その腕に抱かれたままで城へと戻った。

途中、城門前の門番や、廊下ですれ違った家臣達に、ぎょっと驚いたような、珍しいものを見るような目で見られ、恥ずかしくて顔を上げられなかったが、信長様は平然とした顔で、皆の好奇の視線など、どこ吹く風といった様子だった。

天主へ続く階段を昇る頃には人の目もなくなり、ほっと息を吐く。

「信長様、重いのに……ごめんなさい」

「重くなどない、貴様は軽過ぎるぐらいだ。
あぁ…いや…そうだな…俺にとっては、やはり重いのかもしれん」

「ええっ…す、すみませんっ、やっぱり降ろして…」

「阿呆、そういう意味ではない。
貴様の存在が、だ。俺の心の内に占める貴様という人間の存在が、他の何よりも重い、そういう意味だ」

「信長様っ…」

「朱里、俺は、昨日のような宴をこれからも行う。
家臣達を労い、今後も天下のために働いてもらうために、息抜きをさせ、本音を曝け出させる場を設けるのは、城主として当然の行いだ。
城主である俺が、家臣と共に酒を酌み交わし、気安く女と戯れることで、場が盛り上がり、皆の緊張を和らげられるのならば、あのような宴は効果が高い」

「……………」

信長様の仰ることは、理にかなっているのだろう。
政宗にも同じようなことを言われたから、私だって理解はしてる。
それでも………

「分かっています…信長様が、遊興の為だけに宴を開いていらっしゃるのではない、ということは。
それでも……私以外の女の人が貴方に触れるのはイヤ!
『この身は誰にも触れさせぬ』と約束して下さったではないですか!?
それなのにどうしてっ……っ…ふっ…」

感情が溢れて止まず、言葉が続かない私を見て、信長様は困ったように眉尻を下げる。

(あぁ…私、我が儘ばっかり言って…また困らせちゃった)

「っ…ごめん、なさい…」

「……何故、謝る? 素直に自分の気持ちを曝け出す貴様は好ましい。嫉妬に身を焦がす貴様のことを、俺は心底愛おしいと思う。謝る必要はない」

「信長様っ…」

「だが…貴様が嫌がると分かっていても、あのような宴は今後も行う。
身体には触れさせても、心まではやらん。
俺の心は、朱里、貴様だけのものだ」


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