第67章 秘密の宴
「っ…やっ……」
(何、これ??こんな宴…あり得ないっ…)
広間の中は人が入り乱れており、大勢の家臣達が豪快に酒を酌み交わしている。
その傍らには、着物を着崩した女人達が何人もいて、お酒を注いだり、しなだれかかったりしている。
(やっ…やだっ、今にも乳房が溢れ出そうなぐらい着物が乱れてる女の人もいる……っ…あっち、密着し過ぎじゃない?)
一歩間違えると、乱交騒ぎになりそうな乱れっぷりだ。
乱れた男女の姿が部屋のあちこちで見受けられ、女達の嬌声が艶かしく響き渡る光景に、思わずクラッと目眩がした。
上座近くの席には、秀吉さん、三成くん、家康の三人が座ってて、何人もの綺麗な女の人が横についてお酌をしている。
(わっ、やっぱり武将達は人気があるよね…あんなに囲まれて…三人とも満更でもなさそうだし…)
女性に人気のある秀吉さんは勿論のこと、普段、天邪鬼な家康までもが、黙ってお酌を受けている。
(の、信長様は……っ…やだっ…)
恐る恐る上座の信長の方へ視線を向けると………
信長の周りには、特に綺麗な女性が何人も侍っていて、きゃあきゃあと嬌声が上がっている。
女の酌で次々と酒を飲んでいる信長は、表情ひとつ変えていないが、女達はみな、熱に浮かされたような目でうっとりと信長を見ている。
酌をしながら信長の手や足にさりげなく触れたりしている者もいれば、大胆にもしなだれかかっている者もいたりして……今も、一人の女がその豊満な胸をわざとらしく信長の腕に押し付けながら、にじり寄っている。
(っ…いやっ…信長様っ、なんで??なんで止めさせないのっ?)
信長は、女達にされるがまま、身体も自由に触らせている。
唯一救いなのは、その顔に喜びひとつ見せていないことだが……
それでも、その光景は見るに耐えられなかった。
「っ……くっ…」
(信長様に触れていいのは私だけなのに……私以外には触れさせないって約束したのにっ……嘘つきっ)
かっと身体に熱が篭もり、胸の内がどす黒い嫌な感情でいっぱいになる。
醜い嫉妬の炎が全身を焼き尽くそうとするかのように、身体が熱くて苦しい。
「お、おい…朱里、大丈夫か?お前、顔真っ青だぞ?」
政宗が心配そうに覗き込んでくる。