第62章 嘘つきには甘い罰
(わ……………っ!)
驚いて信長様に抱きついた瞬間、偶然、首筋から耳の付け根の辺りを指が掠めてしまい…………
「っ…………」
信長様の身体が、ぴくりと一瞬だけ揺れる。
(え………………?)
「貴様……………まさか、このような時を狙って不意打ちをするとはな…俺としたことが油断したな」
「ええっ? いえ、そういうわけじゃ………!」
慌てて否定するけれど、ニヤリと口角を上げた顔が間近に迫る。
その顔は少年のように悪戯っぽく、でも……堪らなく色っぽかった。
「俺に奇襲をかけるとは…許し難い。貴様には、これから罰を与える。この褥の上で、じっくりとな」
「っ、じっくりって…………」
「ふっ…無論、朝までだ」
「んっ………」
一瞬だけ奪うように唇を重ねられた。
信長様の指先が首元を撫で、さらに着物の上から胸元を下っていく。その手の平の感触に、私は思わず身体をふるりと震わせた。
(まさか、私の方がお仕置きされるなんて……………)
それでも、さっきのくすぐられた時の信長様の顔を、もう一度見たいと思ってしまう。
(頼りなげで可愛かった……また触れたら、信長様は怒るかな)
そんなことを考えながら、これから与えられる甘いお仕置きに、胸が熱くなった………
ぎゅっと目を閉じ、身体に触れる熱い手の感触にただ身を委ねていると……
信長様は再び口づけを落としながら、私の着物を乱して肌を暴いていく。焦らすように、指がゆっくりと首筋を滑り、鎖骨を通過した。
(何だか、今日はもどかしいな……)
不意に信長様と目が合う。
「くくっ…物足りないような顔だが、どうして欲しい?」
「……っ、どうって……やっ…言えない」
「仕置きはまだ始まったばかりだ。音を上げることは許さん。俺に不意打ちをした罪は重いからな」
「そんな……これ以上焦らされたら、私……」
(おかしくなりそう)
「ならば、どうして欲しいか言え」
追い打ちをかけるように、指で素肌をなぞられる。
(んっ…いじわる…恥ずかしいのに……)
堪らなくなって、素直な気持ちを伝えようとしたその時………