第62章 嘘つきには甘い罰
「結華にも悲しい思いをさせたのだから、やはり相応の罰は受けねばならんな……。
朱里、今だけ特別だ。俺をくすぐることを許してやる」
「えっ、ええっ??」
驚く私に構わず、抱き締めていた私の身体を離した信長様は、覚悟を決めたかのように目を瞑っている。
(ど、どうしよう…本当にいいのかな…でも、こんな機会、滅多にないだろうし、信長様がいいって言ってるんだから……いいのかな?)
「…………早くしろ」
「えっ、あっ、ええっと……」
戸惑う私に、少し苛ついたような信長様の声音が焦りを誘う。
(っ…いいって言われても、こんなの、やっぱり躊躇っちゃうよ…)
「……………まだか?」
「あっ、は、はいっ…あのっ……」
「……………………」
躊躇いながらも恐る恐る、信長様の首筋に手を伸ばしかけると……
「…………遅いっ、こちらからいくぞ」
「えっ?やっ、きゃっ!」
伸ばしかけの手をぐいっと引っ張られて、それと同時に腰に回した手が私の身体を強く引き寄せた。
ぴったりと密着して、すぐ近くで目線を合わせられ、
「早くやれ」
「っ…やっ…こんなにくっついてたら、無理っ……」
ふるふると首を振って拒絶を伝える私に構わず、信長様は耳朶に唇を寄せて、カプッと甘く歯を立てた。
「んんっ…やだっ、なんで…??」
「待たせた貴様が悪い」
(そんな…………)
儚い水音を立て、うなじを唇で吸い上げられる。信長様の戯れは止まらず、身体がじんわりと熱くなっていった。
「くくっ…このままでは貴様が降参する方が早いな」
意地悪な笑みを浮かべる信長様に、どんどん抗えなくなって……
(結局いつも通りになっちゃってる…………)
艶を宿した瞳が目前に迫り、そのまま倒れこむように押し倒された。