第61章 試練の時
軽々と私を抱き上げたまま、天主へと上がっていく信長様の腕の中で、私の心の臓は煩く騒いで仕方がなかった。
(信長様の胸の音もいつもより早いような気がする……)
愛しい人の、生きている証を刻む音を、もっと間近に感じていたくて、その胸にぎゅっと顔を埋める。
「……如何した?」
頭上からかけられる、低く通る声は、この上なく優しい響きのものだった。
「ん…信長様の心の臓の音を、もっと近くで聞いていたくて…」
「朱里…案ずるな、俺は貴様を置いて死んだりはせん」
「っ…はい…分かっています…でも…不安だった…信長様、貴方を失ってしまったら私はっ…どうしたらいいのかと…考えただけで恐ろしくて……」
また溢れそうになった涙を堪えるために唇を噛む私の目蓋に、信長様の唇がそっと触れる。
「んっ…あ……」
いつの間にか天主に着いた信長様は、私を抱いたまま躊躇うことなく寝所へと足を向ける。
真新しい寝具が敷かれた寝台の上に私を優しく下ろし、包み込むように私の身体に覆い被さった信長様は、その深紅の瞳で私を捕らえる。
ギシッと寝台が軋む音が艶かしい。
「朱里…っ…抱きたい、今すぐ」
「っ…あっ…んっ…」
熱っぽく請う声に、お腹の奥がキュウッと疼いてしまう。
(んっ…私も…信長様を感じたい…)
互いに求め合うように自然と唇が重なり合う。
ーちゅっ ちゅぷっ じゅぷっ じゅるっ
最初は軽く啄むように重なり、次第に奥まで貪るような深い口づけに変わっていく。
「んっ…ふっ…あ、くっ…はぁ…んんっ…」
「くっ…はぁ…」
尖らせた舌先で唇の端をツーっとなぞられて、痺れるような快感が背中を駆け上がっていく。
「あっ…はぁ…」
僅かに開いた唇から吐息が零れ落ちる。
「……よい声だな…もっと聞きたい」
ふわりと優しく微笑みながらも、信長様の手は容赦なく襟元を一気に開いて胸の膨らみを露わにする。
ーぢゅうぅっ ぢゅるるっ
「あ"あ"っ!やっ…吸っちゃ…やぁ…」
胸の膨らみを下から持ち上げるようにして両手の内に収めながら、尖端を口に含んでじゅるじゅるっと吸い上げる。
あまりの気持ちの良さに、堪らず腰が浮いてしまう。
乳首を吸う度に、ビクンビクンっと腰を跳ねさせる朱里が愛らしくて、思わず押さえつけるように、朱里のソコに己の下半身を押し当てていた。