第59章 新しき城〜魔王の欲しいもの
「くくっ…いやらしいな、俺の奥方様は…本当は欲しいのではないのか?……………こっちの穴に」
ーくちゅっ
「ひっ…あっ…やっ、やだぁ…だめだめ、待ってぇ…」
尻の穴にほんの少し亀頭の先を押し込まれて、ピリッとした僅かな刺激と後ろを犯される驚怖に、完全に狼狽してしまい、必死で身を捩る。
「やっ、いやっ…抜いて、信長さまぁ…」
涙目で訴える私に構わず、信長様は先を少し埋めた状態で、ぐりぐりと腰を回し始める。
(やだっ…うそっ、なんで動くのっ?そんな趣味ない、って仰ったのにっ…んっ…痛っ…)
解されていないところが拡げられる圧迫感と僅かな痛みに動揺する気持ちとは裏腹に、気持ち好いような悪いような……初めての感覚に何となく変な気分になってくる。
「んっ…もう、やっ…だぁ…」
「っ…くっ……」
背中に寄せられた厚い胸板がピクリと震えて、信長様が私の耳元で息を呑む気配を感じる。
同時にグッと腰を突き出されて、更にもう一段階、竿の部分が埋まる。
後ろの圧迫感が半端なく、内臓が押し上げられるような感覚に私は思わず息が止まりそうになってしまったが、信長様は「はぁ…」っと悩ましげな吐息を吐かれる。
(んっ…信長様…感じてらっしゃるの?気持ち好いの、これ?……っでも…これ以上深いのは…私、本当に無理…)
「…お願い…もうっ…いやっ!」
腰を押さえる信長様の手を掴んで、強く拒否の意思を伝えると、信長様はハッと我に返ったように私を抱き締めてから、ようやく、ずるっとモノを抜いてくれた。
「……………………」
「…………怒ってるのか?」
背を向けたまま顔を敷き布に押しつけて身体を丸める私を、信長様が後ろから覗き込もうとされる。
その声はちょっと頼りなくて…何だか可愛かったけど……
「………もうっ…知りませんっ」
「っ…朱里…こちらを向け」
「イヤ」
「朱里……」
「………………」
「っ…機嫌を直せ。俺は…貴様が相手なら、どこでも欲しくなるらしい………痛かったか?」
「……分かんない…何だか変な感じで…信長様は?」
「ん?」
「…気持ち、よかった?」
「………まぁ」
(……まぁ、って何??)
「あの…そんなご趣味は…」
「ない。したいと思ったのは貴様にだけだ」
「はぁ…」
(喜んでいいやら悪いやら……)