第57章 光秀の閨房指南
永遠かと思えるほど長く重ね合わせた唇を離すと、二人の間に、つーっと銀糸が繋がる。
「っ…はぁ…はぁ…」
口づけで上がった息を整えながら、指先で信長様の首筋に触れると、その身体がビクッと震える。
「っ…くっ…ふっ…朱里っ…」
悩ましげな吐息を漏らす信長様が可愛くて、今度は首筋に唇を寄せて、チュウっと吸い付いてみる。
信長様がなさるように跡を付けてみようと強めに吸うと、ほんの少し紅い跡が残った。
「うっ…あっ…朱里っ、やめよ…」
信長様の首筋に吸いついたまま、胸元に手を伸ばし、その中心の小さな突起に触れてみる。
親指と人差し指で摘んでクニクニと押し潰したり、爪の先でカリッと引っ掻いてみたりしていると、徐々に硬く勃ち上がってくるのが分かる。
(っ…感じてくださってるの?可愛い…)
硬くなった突起に唇を寄せて、ぱくっと咥えると舌を使ってレロレロっと舐めてみる。
「うっ…はっ…あぁ…はっ…」
目を閉じて眉間に皺を寄せながら堪えるように荒く息を吐く信長様の姿を、下から見上げながら私自身も身体が熱く火照ってくる。
濃密な閨の空気に我を忘れてしまいそうになりながらも、頭の中では光秀さんとの会話が蘇っていた。
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『いいか、朱里、閨ではまず御館様の自由を奪え。容易には解けぬ紐の結び方を教えてやる。このやり方なら、御館様でも解くのに難儀されるはずだ。
自由を奪った後は、お前が普段されているようなことを御館様にして差し上げろ…できるだけ焦らしながら…な?
その間、お前の身体には触れさせてはいけないぞ。
くくっ…お前も辛いかもしれないが、御館様には極限まで我慢して頂くのだ。
それから…これをお前にやろう』
光秀さんは口元に妖しげな笑みを浮かべながら、蓋に綺麗な螺鈿細工が施された小さな入れ物を懐から取り出す。
『あのっ…これは……?』
『これは【愛蜜香】という練り香水だが……いわゆる媚薬だ』
『びっ、媚薬っ??』
伸ばしかけていた手を慌てて引っ込めた私に、光秀さんはニタニタと意地悪そうに笑いながら、その入れ物を握らせる。
『これは強力な媚薬でな、身体のどこに付けてもいいが、粘膜に覆われた場所…特に局部に塗りこめば催淫効果が絶大だそうだ。
お前のその細い指先で、御館様のそこに塗って差し上げろ。
激しく乱れるお姿が見たいのだろう?』