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永遠の恋〜信長の寵妃【イケメン戦国】

第57章 光秀の閨房指南


「……お疲れでしょう?今宵はもうお休みになりますか?」

胡座を掻いた膝の上に所在なげに置かれていた手を取って、温めるように両手で包み込む。
抱き締め合った身体の暖かさと反対に、その手はひどく冷たかった。

「………京で…何かありましたか?」

「………………」

信長様は私の問いには答えず、ゆっくりと手を伸ばして私の首筋に触れる。
冷んやりとした指先が心地良かった。


上洛の前に信長様が咲かせてくれた紅い華

それはもう薄くなってきていて、間もなく消えようとしていたが、信長様は自ら残したその跡を、指先で優しく撫でる。

「…んっ…擽ったいです…信長様…」

身を捩る私を再び腕の中へと抱き込んで、薄くなった跡へと唇を寄せる。
ちゅうっと吸い付かれると、チリッとした甘い痛みが首筋に広がっていった。

「あっ…んっ…ふっ…」

上書きするように再び紅い華を咲かせたであろう口づけに、信長様の欲を感じて身体の奥がズクズクッと疼き出す。



「…………朱里、俺の…天下人の…妻で、貴様は幸せか?」

「っ…え…………?」

甘い口づけとは裏腹の思いも寄らない問いかけに、一瞬何を言われているのか分からず、顔を上げて信長様を見ると、信長様は唇をキュッと引き結び、ひどく苦しそうに顔を歪めておられた。

「……急に、どうなさったのですか?」

「…………………」

「……幸せですよ。この世で一番好きな御方に愛されて、愛の証を産んで…家族三人、穏やかに過ごせている、今この時が私は愛おしい。
信長様の妻で、私は幸せです」

想いが伝わるようにと、じっと目を見つめて語りかけるけれど、信長様は苦しそうに目線を逸らしてしまわれる。

「っ…天下人の妻でなければ、もっと自由に生きられたかもしれない、とは思わんのか?
自由に城の外へ出て、自分の望む場所へ行きたい、今の暮らしは窮屈だと……考えたことはないのか?」

「……信長様…」

「…………俺は…貴様の…自由を奪っているのか……?」

感情を絞り出すように胸の内を曝け出す信長様の姿に、グッと胸が締め付けられて……思わずその身体を強く抱き締めていた。

「信長様、私は…他でもない貴方の隣にいたいのです。私の望む場所は貴方の隣です。私の行きたい場所は、貴方が行きたいと思われる場所ですよ」

「朱里……」


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