第55章 初恋の代償
ーちゅっ くちゅっ ちゅくっ
顎を掬い取られ、唇を塞がれると、チュウッと痛いぐらいに強く吸い上げられる。
「っ…ふっ…んっ…んんっ…」
強引に挿し入れられた舌が歯列を割って、咥内を奥深くまで舐め上げる。
深く唇を重ねられて息が出来ず、苦しさの余り、信長様の胸をドンドンと叩いて抵抗する。その手を強い力で掴むと、唇を重ねたまま、両手首を頭の上で縫い止める。
「うっ…く…ん"ん"っ…やっ…」
(っ…痛い…信長様…)
信長様の唇は私の首筋へと移動し、そこもまた強く吸い上げる。
尖らせた舌先が下から上へと舐め上げては、じゅっと音を立てて吸い付く……何度も何度も。
激しい愛撫に頭がクラクラとしてきたその時、いきなり首筋に強い痛みが走り、驚きに目を見張る。
「っ…あ"あ"あ"ぁ…痛っ…」
首筋に強く歯を立てられたらしく、感じたことのない痛みに目尻に涙が滲む。じんじんと鈍い痛みが広がっていく。
「うっ…信長様っ…いやっ…」
「くっ…貴様は俺のものだ…抗うことは許さぬ」
私の身体を組み敷いて上から見下ろしている信長様の深紅の瞳は、冷たく凍りついていて、その奥底で哀しげな影が揺らめいていた。
信長様の手が着物の袷に掛かり、左右に一気に開かれる。
乱暴に開かれて、両の胸乳が溢れ出ると、信長様の大きな手のひらが、すかさずグッと鷲掴みにする。
丸い膨らみをグニュグニュと押し潰すように揉まれながら、時折、尖端の蕾を指先でキュウっと強く摘まれると、頭の芯が痺れるような感覚に陥ってしまう。
次々と与えられるひどく乱暴な愛撫は、激しい痛みとともに抗えない熱を身体の奥に植え付けてくる。
(っ…痛いっ…こんなの、いや…でも…)
信長様の顔が胸元に近づき、硬くなり始めた乳首に触れようとした瞬間…………
「御館様……」
襖の外から、低く抑えた声が聞こえた。
(この声……光秀さん??)
信長様はその声に反応して一瞬動きを止められたが、すぐに再び胸元に唇を寄せてくる。
「…御館様…」
再度、今度は少し大きめの咎めるような声で呼びかけられて、信長様はチッと襖の外に聞こえるように舌打ちをすると、ゆっくり身体を起こした。
「…………………何の用だ、光秀?」
襖の方をジロリと睨みながら、苛立ちを露わにしたまま声をかける。
「……御館様に、至急お伝え致したき儀が…」