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永遠の恋〜信長の寵妃【イケメン戦国】

第53章 業炎


広間で家臣達とともに信長様のお帰りをお待ちしていた私は、そわそわと落ち着かない気持ちで、今か今かと広間の外の気配に耳を澄ませていた。

隣に座っている結華も久しぶりに父に逢える嬉しさからか、信長様のご出陣以来少なくなっていた口数も増え、笑顔も見せている。

「母上っ、まだですか?父上は今、どの辺りですか?」

「ふふ…落ち着きなさい、結華。もう間もなく戻られますよ」

少し前に国境を越えて近江の地へ入られたと知らせがあった。
戦は特に問題なく勝利し、軍の被害も僅かであったという。

もうすぐ信長様に逢える。早く逢いたい。



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襖の向こうの廊下をガチャガチャと武具が触れ合う音とともに大股で歩いてくる足音が聞こえてくる。

家臣達が一斉に頭を下げて平伏したと同時に、スパンっと勢いよく襖が開いて力強い足取りで信長様が広間へと入って来られた。

変わりないそのお姿を見て安堵しながら、結華とともに頭を下げてお声がかかるのを待つ。

「皆、出迎え大儀である。面をあげよ。
留守の間、よう城を守った。家康、大儀であった」

いつもと変わらぬ低く威厳のある声が上座から発せられると、広間全体が一斉に引き締まった気配になる。

「信長様、此度のご戦勝、誠に喜ばしき限りでございます。
お留守の間、安土も特に変わりございませんでした」

城守を任されていた家康が戦勝のお祝いを述べているのを聞きながら、上座の信長様をじっと見つめていると、チラリとこちらへ視線が流された。

(あっ……)

けれど……合ったと思った視線は、すぐにふいっと逸らされてしまい……信長様の表情は不審そうに歪んでいる。

(っ…あれ??なんで??いつもなら、笑みを見せてくださるのに…)

予想外の信長様の態度に困惑する私に追い打ちをかけるように、氷のように冷たく無感情な声が降ってくる。

「…秀吉、何故この場に女子供がおる?…この者達は…誰だ?」

(…っ…え…?今…なんて…なんて仰ったの…?)

ドクンっと胸の鼓動が嫌な音を立て、呼吸が急に苦しくなった気がして、胸元をぎゅっと押さえる。
戦勝の喜びに湧いていた広間の空気が、打って変わって寒々としたものになってしまっていた。

「っ…御館様…?」

「信長様…何言ってるんですか?…冗談でしょ?」

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