第51章 薄明の悪戯
(うっ…あっ…出ちゃった…)
突然の放出に焦りながらも、モノを唇で扱きながら最後の一滴まで絞り出させるように吸い上げると、溢さないようにゆっくり咥内から抜き取った。
口を押さえて褥の上にぺたんと座り込む。
(ゔっ…どうしよう…こんなにたくさん飲めない…)
口の中いっぱいに精液の青くさい臭いが広がり、頭がくらくらしてくる。
「……朱里、吐き出せ」
俯いて口を押さえていた私の頭上から、ひどく冷静な声がかかる。
ビクッと身体を震わせて、おずおずと声のした方を見ると、上体を起こして気怠げに髪を掻き上げる信長様の姿があった。
「…!?」
「…構わんから吐け」
身体を抱き寄せられ、背を優しくさすられる。
口元に懐紙を充てがわれて、再度促されると……口の中に広がる苦みに限界だった私は、懐紙に信長様の精を吐き出す。
「ゔっ…」
口から粘り気のある白濁がドロリと懐紙の上に落ちる。
ツーっと糸を引いて途切れない白い液体を、無理矢理手で拭う。
全て吐き出しても口の中の苦みは消えない。
口での愛撫は、主に月の障りの時などに信長様から求められてすることも多いけれど、やっぱりこの独特の苦みにはいつまで経っても慣れない。
信長様もそれは分かっておられるようで、いつもは果てる寸前に口から抜いて下さったりする。
口に出されることは滅多にないし、『飲め』と強要されることもない。
(少しなら飲んでもいいけど…今日みたいにたくさんはちょっと…)
「気持ち悪いだろう?ほら」
枕元の水差しから茶碗に水を注いで渡してくれる。
「…ありがとうございます…あのっ…ごめんなさい…そのっ…起こしてしまって……」
「ん…あぁ。ふっ…気持ち好かったぞ…口の中で果ててしまうほどに、な」
ニヤッと口元を緩めて見つめられると、恥ずかしくて目を合わせられない。
慌てて顔を逸らすも、グイッと顎を掴まれて間近に顔を寄せられたかと思うと、噛みつくような口づけが降ってくる。
ーチュウゥッ チュッ チュプッ
「ん…あっ…は…ぁ…ん"ん"っ…」
強く唇を押しつけられて吸われる。
息が出来ない 空気が足りない
頭の中が真っ白になって意識が飛びそうになった頃、ようやく熱い唇が離れていく。
息が整わず、足りない空気を慌てて求めてしまい、軽くむせる。
「うっ…はぁ…は…ぁ…けほっ…」