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永遠の恋〜信長の寵妃【イケメン戦国】

第48章 満たされぬ心


信長様と結華が城下へと下りていくのを見送った後、私は自室へと戻り、秀吉さんの言葉に甘えて、少し休ませてもらうことにした。

というのも、月の障りのせいで朝から体調が思わしくなく、貧血気味で顔色も悪かったからだ。

(信長様に気づかれていないといいんだけど……また心配かけちゃうから…)


褥に横になり、うつらうつらしていると、襖の向こうから千代の遠慮がちな声が聞こえてくる。

「……姫様、起きていらっしゃいますか?」

「なぁに?」

「……あの…御家老様方が、姫様に御目通りを願われているそうなんですが……如何いたしましょうか?」

「え?私に?…何かしら?今は信長様もいらっしゃらないけど…急ぎの用だといけないし…。
分かりました、お会いします」

「大丈夫ですか?姫様」

千代は、以前、私が家老達の心無い言葉に傷つけられ、批判されたことを気にしているようで、心配そうに私の様子を窺っている。

「大丈夫よ、御家老方とは今は円満なんだから。祝言の後、岐阜や尾張にも行ったでしょう?皆、私達を祝福してくれたわ。千代、心配しないで」

「はい…姫様が宜しければ、私はそれで…」


********

「奥方様、御目通りが叶い、恐悦至極に存じ上げまする。
奥方様におかれましては、益々お美しく、結華様もご聡明にお育ちのご様子、喜ばしき限りにございまする。
本日は、昨日の宴の御礼と……奥方様に少しお話致したき儀がございまして、ご無礼かとは思いましたが、御目通りを願いました」

折り目正しく改まった挨拶をする家老達の様子に、些か不安が募る。

(信長様ではなく、私に話って…何の話?)

「皆様、堅苦しくなさらないで下さいね……お話って、何かしら?」

家老達は一瞬、迷う素振りをみせてお互いに見遣ったあと、意を決したように口を開く。

「……奥方様、このような事を申し上げる我らのこと…恨んで頂いても結構です。ですが、どうか織田家の為と思い、最後までお聞き下さいっ。
我らの話とは…御館様にご側室を迎えて頂くよう、奥方様からご進言を願いたいのです」

「………っ、私から信長様に側室を薦めろ、と?」

頭が、何かで酷く殴られたようにガンガンと痛み出し、我知らず目眩を感じて脇息に凭れかかってしまった。


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