第47章 祭りの夜
隣に座って一緒に花火を見上げているはずの信長様
視線を感じて隣を見ると、穏やかに微笑みながら私を見つめる信長様と目が合ってしまって…
「あ、あの…花火、見ないんですか?」
「ん…俺は、花火に見惚れる貴様の蕩けた顔が見たい」
(っ…そんなこと言われると、見づらいんだけど…)
恥ずかしくて一気に熱くなった頬を押さえて下を向いていると、また大きな音とともに、今度は鮮やかな青色の花火が連続して次々に上がった。
「わっ…凄いっ…わぁっ!」
「くくっ…貴様は本当に…愛らしいな」
信長様に見つめられているのは落ち着かなかったけど、真近で見る花火は本当に綺麗で素晴らしくて、見惚れてしまう。
「……朱里」
「えっ…あっ…んんっ…」
突然伸びてきた手が、私の顎をクイっと掬い上げたかと思うと……ちゅっと唇を重ねられる。
上唇をぺろっと舐められた後、すぐに唇は離されたけれど…
「…やはり、貴様が花火ばかり見ているのは、つまらん」
「ん…もぅ…信長さまったら…」
拗ねた子供のように不満げな顔をする信長様が愛しくて……その唇に私は今度は自分から口づけをした。
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花火を最後まで楽しんだ私達が城へと戻る頃には、もう夜もすっかり更けていた。
お互いに湯浴みを済ませた後、秀吉さんが用意してくれた客間で一息つく。
部屋に入って早々に目についてしまった…二組の褥
それが隙間なくぴったりと並べて敷かれているのが、何だか逆にいやらしくて…湯浴みで火照った身体が更に熱くなる。
(秀吉さんってば…らしくないことを…)
「…ほぅ、秀吉にしては気が利くことを…」
「ええっ?あっ…やっ…待って、信長さま…」
後ろからぎゅっと抱き締められたかと思うと、すぐに首筋に甘い痛みが走る。
「んっ…あ…ん…いたっ…」
強めに歯を立てられて、思わず声を上げてしまい、慌てて口元を押さえると、信長様はすぐに私の手を捉えて、指先に唇を這わしてくる。
ちゅっ ちゅうっ ぴちゃっ
「あっあぁ…ふっ…うぅ…」
「声を抑えることは許さん…もっと聞かせろ…貴様の甘く啼く声が聞きたい」
耳元で甘く囁かれ、今度は耳朶を食まれる。
尖った舌が耳の中へと挿し込まれ、溝をなぞるように滑っていく。