第46章 男と女
性急に帯を解き、夜着の前を寛げると、下帯を緩める。
腹に付かんばかりに反り返った一物は、先からトロトロと粘り気のある露を溢している。
竿の部分を握り、二、三度上下に捌くと、それだけで背筋を這い上がるように、ゾクリとした快感が走る。
「っ…くっ…はっ…」
(……久しぶりだからか?この俺が、これ程に余裕がないとは…)
「ん…信長さま…好き」
下から伸びた朱里の両手が俺の首に回され、頭をぐいっと引き寄せられる。
ふわりと重なる柔らかな唇の感触に、俺の僅かに残っていた余裕は完全に吹き飛ぶ。
「くっ…朱里っ…もう…挿れるぞ」
「…んっ…あぁ…」
ぐちゅっ!ぐちゅぐちゅっ!じゅぶっ
一物に手を添えて、先端を、ぐちゅぐちゅに濡れた割れ目に擦り付けると、朱里の愛液と俺の先走りの露が混ざり合って、酷い水音をたてる。
亀頭の先が割れ目をこじ開けて侵入し、ヌプヌプッと飲み込まれていく。
「くぅ…はっ…あ"あ"ぁ…」
(まだ先だけしか挿れていないのに、何という心地よさか…これは…堪らんっ)
熱くてぬるぬるしたナカの感触があまりに心地よくて、一気に奥まで挿れたくなり、一度引いてから勢いよく腰を突き挿れようとした、その時……
「ふ、ふぇぇ〜ん!あぁ〜ん、あぅ〜」
隣の布団から突如あがる、結華の泣き声に、一瞬、思考が固まる。
俺の下では、朱里が顔を強張らせてビクッと身体を震わせる。
バタバタと手足を動かしながら、火が付いたように激しく泣き出す、結華。
その泣き声を聞いた瞬間、朱里は『母』の顔に戻ったようだ。
「あっ…信長様…結華…」
俺に裸で組み敷かれたまま、結華と俺を交互に見遣りながら、困った顔で、落ち着かない様子を見せている。
その様子を見れば…強引にコトを進める訳にもいかず…ふぅっと一つ息を吐いてから、身体を離した。
「あ、あの…信長様…?」
「……よい、見てやれ」
朱里は乱れた夜着の前を慌ててかき合わせて身体を起こすと、すぐに結華を抱き上げた。
激しく泣く結華をあやしつつ、『ごめんなさい』と断ってから別室へと足早に歩いていく朱里を、平静を装いながら見送るが………結局その夜はそのまま、限界まで昂った己の欲を放出することも出来ず、一人悶々と朝まで過ごすことになったのだった。