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永遠の恋〜信長の寵妃【イケメン戦国】

第44章 生命(いのち)


翌日から始まった初めての赤子の世話は、想像を絶するような大変さだった。
昼夜問わず寝たり起きたりを繰り返す赤子。
その度に乳を含ませ、むつきを替えて、寝かしつけて…ようやく寝たかと思い布団に置くと、またすぐに泣き出して…

初めての出産は身体も大きく変化させたようで、翌朝起きたら、腰は勿論のこと、全身が隈なく痛み、悲鳴を上げてしまった。
痛む身体と睡眠不足でボロボロになっていく私……赤子はそんなことはお構いなしに、自分の存在を主張するかのような力強い泣き声を上げる。



「おぎゃあ…おぎゃあ…」

深夜、天主に響く赤子の声

(あぁ…また泣いてる…お乳はさっき飲んだのに、今度は何だろう……起きなくちゃ、早く…)

早く起きて抱いてやらねば…そう思う気持ちに相反して、身体が怠くて持ち上がらない。

その時、襖がスッと開いて信長様が入ってこられ、泣いている結華を抱き上げる。

「どうした?乳が欲しいのか?ん?あぁ、むつきが濡れているのか。気持ち悪かったのだな…よしよし、父様が替えてやろう」

慈愛に満ちた優しい声で話しかけながら、信長様はあっという間に濡れたむつきを替えてしまい、結華を胸に抱いてあやしている。

「っ…信長様、ごめんなさい…起こしてしまって…」

「そんな気遣いは無用だ。俺は元々眠りが浅いからな。それよりも貴様の方こそ、大丈夫か?眠れておらんのだろう?」

「赤子がこんなに寝ないものだとは思いませんでした。寝る子は育つって言うのに…。信長様、やはり私と結華は自室で過ごした方がよいのでは?ここではやはり、信長様のご負担になってしまいます…」

当初、私は自室で子の世話をするつもりだったのだが、信長様はそれをお許しにはならなかった。
『二人の子だから二人で見ればよい』と言って下さって…

昼間の政務も、本丸御殿でなさっていたものを、一部、天主で行なったりしながら、合間には結華の世話も手伝ってくださっていた。

それは本当に嬉しいけれど、信長様の貴重な時間を奪ってしまっていることが心苦しくて…申し訳なさでいっぱいだった。

「朱里、何度言えば分かる?俺に気を遣う必要はない。赤子の世話は手がかかる。一人より二人のほうが効率がよい、それだけだ」

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