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永遠の恋〜信長の寵妃【イケメン戦国】

第44章 生命(いのち)


その日も一日、何事もなく夜になる。

近頃は、お腹の子も益々よく動くようになってきており、ポコポコとお腹を蹴る仕草をみせたり、と愛らしいものだ。

「ふふ…父上様はまだかしらねぇ」

動くお腹に触れて話しかけながら、信長様のお帰りを待つ、こんなひと時が今、とても幸せだ。

(この子にも、もうすぐ会える。初めてのことばかりで不安だけど…早く会いたい。無事に産んであげたい)


「朱里、戻ったぞ」

襖をスパンっと勢いよく開けて、信長様が部屋へと入って来る。

「信長様っ、お帰りなさいませっ!」

「ああ、変わりないか?今日は、家康の診察の日だったな……どうであった?」

部屋へと入ってきた信長様は、足早に私の元に歩いてきて、目の前に、どかっと腰を下ろした。

「あっ、はい…子は順調に育っているようです… 」

「そうか…それならばよい。だいぶ大きくなったな…」

そう言うと、私のお腹に手を伸ばし、優しい手つきでそっと触れる。信長様が触れた瞬間、お腹の中で、子がくにゃっと動いた。

「「あっ!」」

二人して顔を見合わせて……ふふふっと笑い合う。

「近頃はよく動いてくれます。男の子か女の子か…楽しみですね」

「ああ、元気に産まれてくれれば、俺はどちらでもよい。貴様の産む子なら、男でも女でも、愛らしいに違いない」

「ふふ…信長様は甘い父上様になりそうですね。
あの、信長様…一つお願いがあります。私、この子を自分で育てたいのです。乳母に任せずに、自分の手元で、自分の乳で、育てたい………ダメですか?」

信長様は少し驚いた顔をして、それから何事か考え込むように暫く黙ったまま一言も発せられない。

(っ…やっぱりダメかな…武家の子なら乳母が育てるのは当たり前。ましてや天下人の信長様の御子だし…それでも、前例がなくても、やっぱり自分で育てたい)

やがて信長様は、ふぅっとひと息吐くと、

「朱里、子を産んでしばらくは体力的にも大変だと聞く。貴様の負担にならないというのなら、俺は別に構わん。
子は……母親の手で育てられるのが一番だと、俺も思うゆえ…」

「ありがとうございますっ!」

「無理はするな。辛くなったらすぐに言え。全て一人でやらずともよい。俺も手伝う…さすがに乳はやれぬが、むつきぐらいは替えてやるぞ」

「えっ、ええぇっ!」


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