第7章 誕生日の贈り物
仕事に戻って行った秀吉さんを見送ると、私は皆から話を聞くべく、行動を開始した。
最初に訪れたのは、三成くんの部屋
「失礼します、三成くん、いる?」
襖を開いて中を窺うと、部屋いっぱいに書物が散乱し部屋の奥が見えないぐらいになっていてびっくりする。思わず立ち竦んでいると、書物の山の中から、
「そのお声は朱里様ですか?どうぞお入り下さい」
(……入れって言われても…足の踏み場もないってこういうことだな)
どう進もうかと躊躇っていると、突然書物の山が崩れて三成くんが満面の笑みを浮かべて現れた。相変わらずの素敵な笑顔。
「朱里様がわざわざ訪ねてきて下さるなんて、感激ですっ」
「お仕事中だった?邪魔してごめんなさい…すごい量の書物だね」
さりげなく足元の書物を脇によけながら、腰を下ろす。
「すみません、仕事に没頭しているといつもこんな感じになってしまって…秀吉様にもよく叱られています。今、お茶をお入れしますねっ……えーっと、急須はどこでしょう?確かこの辺に…」
バサバサと書物をひっくり返し始めた三成くん。書物の山が次々と雪崩を起こしていくのを見て、慌てて声をかける。
「あのっ、お茶はいいよ!それより聞きたいことがあるの」
「朱里様に是非私の入れたお茶を召し上がって頂きたかったのですが残念です……聞きたいこととは何でしょう?」
「えっと、もうすぐ信長様のお誕生日だよね。三成くんは信長様にどんな贈り物をするのかと思って」
「ああ、その件でしたか。私は御館様に戦術書を贈るつもりです。最近読んだ中でも1番のものです。御館様の大望を成す為にお役に立つはずです」
(戦術書か…三成くんらしいな)
「朱里様は何を贈られるのですか?」
「う〜ん、まだ考え中なの。皆の意見を聞いてみようと思って」
「そうでしたか。良い案が浮かぶといいですね。私もご相談に乗りますよ」
「三成くん、ありがとう!」