第43章 決戦
毛利軍を破った織田の水軍は、四国へ向かった政宗、家康の軍と合流すべく、進路を反転する。
その途上で合図の狼煙が上がり、政宗と家康が無事に長宗我部家との戦に勝利したことが確認できた。
長宗我部家は、開戦当初は激しく戦っていたが、毛利の水軍が敗れたことを知ったあと、降伏を求めてきたということだった。
(よかった……政宗も、家康も、秀吉さんも、三成くんも…みんな無事でよかった…みんなに早く逢いたい)
それぞれの軍が戦の後始末を終え、互いに合流すべく帰路を急いでいた。
私達は政宗と家康に合流したあと、今日は堺の港まで戻り、商館に留まることになったのだった。
「政宗、家康!二人とも無事でよかったっ…」
「っ…朱里っ、アンタの方こそ…怪我はない?身体は大丈夫?体調に何か変わったことはなかった?」
「朱里、心配したぞっ!…元就のやつに何もされてないだろうな?
………っていうか、なんだその格好は??」
そう…信長様は、商館に到着した後も、この南蛮の衣装(『どれす』というそうだけど)を着替えることを許してくださらず、私は恥ずかしさから身を縮めるようにして二人に会っていたのだった。
(秀吉さんがこの場にいなくてほんとによかった……こんな露出の高い格好、絶対にお説教されるっ)
私がこの格好の訳を話すと、家康は心底呆れた顔をし、政宗はニヤニヤと笑っていた。
「アンタ…海に飛び込むなんて…何考えてんのっ?無茶苦茶すぎるよ…ほんと」
「まぁまぁ、家康、それぐらいにしといてやれよ。そういう、時に大胆に行動するとこ、が朱里の良いところだろ?
それにその格好、なかなか似合ってるぜ……今夜はそれで信長様を癒して差し上げろよ」
「ええぇっ!やっ…そんなつもりじゃあ……」
私の反論を聞く気はないのか、二人はさっさと歩き出していた。
これから戦の後処理のための軍議だそうだ。
(早く信長様と二人きりになりたいけど……今宵はきっと遅くまでお忙しいだろうな)
信長様のお立場を思えば仕方のないことだと頭では分かっているけれど、愛しい人に長く離れていた私の身体は、信長様のぬくもりに酷く飢えていて……その渇望に身を焼かれる思いだった。