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永遠の恋〜信長の寵妃【イケメン戦国】

第43章 決戦


晴れ渡る空の下、何処までも続く水平線を見遣りながら、信長は船の舳先に立っていた。

「御館様、まもなく安芸の海域に入ります。
いつ毛利の水軍と遭遇してもおかしくありません。一旦、後方へお下がり下さい。
……それにしても、この『ガレオン船』という船は速度が格段に速い。異国の技術には目を見張るものが多いですな」

光秀が横に来て報告をするのを聞きながら、信長は改めて自身の乗る船の様子を確認する。
この船は、南蛮の商人から買い取った異国の船だ。すぐに動かせるように、船だけでなく、船員もろとも買い取った。
鉄甲船に比べると防御力は落ちるが、機動力は格段に上がる。

此度の戦では、九鬼水軍の鉄甲船団も二つに分け、一方には四国の長宗我部家との戦のために、政宗と家康を配置している。

陸からは、秀吉と三成が吉田郡山城の攻略にあたっており、それぞれに戦況を狼煙で報告する手筈になっていた。

「……元就の動きは掴めたか?」

「既に吉田郡山城は出ています。船をどこに進めてくるか…兵数はこちらが上回っておりますので、或いは奇襲を仕掛けてくる可能性もあるかと…」

「奇襲は元就の得意とするところだからな。くれぐれも警戒を怠るでないぞ」

「はっ!………御館様、朱里のことですが…」

「光秀っ!朱里のことは言うな…今は…この戦に勝つことだけ考えよ」

「…御館様……っ…承知致しました」


重々しくなってしまったその場の空気を打ち消すように、光秀は努めて明るい声で話しかける。

「…しかし、此度の陣立て、秀吉はいつになく口惜しそうでしたな。御館様のお傍を離れるのが、余程心配らしい。『直ちに城を落として、合流します!』などと息巻いておりましたが…」

「ふっ…あやつならやりかねんな。まぁ、仕方あるまい。秀吉には前回の中国攻めの経験から地の利がある。城攻めは適任であろう。
それに……船酔いが酷いあやつに、船戦は辛かろう?」

ニヤリと口の端を上げて笑う信長の様子に、光秀は少し安堵する。

「くくっ…御館様のそのお気遣いを秀吉が聞いたら、泣いて喜びますぞ」

「………言うなよ、光秀。あやつが泣くと長いからな」


(御館様は、安土を出てから言葉少なく、殺気立ったご様子だったが……秀吉がおらぬ今、今度は俺が御館様をお支えせねば…)

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