第43章 決戦
安土城の広間では連日、昼夜問わず軍議が行われている。
刻一刻と迫る開戦の時に備えて、策を練る。
毛利、長宗我部連合軍との戦の準備は、情報の収集、武器火薬の準備、兵站の確保、と着々と進んでおり、此度の出陣には万全の体制をもって当たらねばならないと皆が心を一つにしている。
吉田郡山城には、陸路にて、秀吉と三成
四国の長宗我部家には、海路にて、政宗と家康
毛利の水軍の本拠地である安芸厳島には、海路にて、信長と光秀
此度の戦は、兵力を三方に分けねばならず、一歩間違えば大きな痛手を被ることにもなりかねない。
戦に動員できる兵数は、相手をかなり上回っているが、その分、安土の守りは手薄になり、奇襲をかけられる心配も出てくる。
光秀からの知らせでは、元就は今、吉田郡山城にいるという。
散り散りになっていた毛利の旧臣どもも城に集まりつつあり、その勢力は見過ごせないものになっている。
だが、船戦を得意とする元就は、必ず水軍の指揮を執るだろう。
その場には必ず朱里を人質として伴うはずだ。
戦の要となる場で、朱里を盾に俺の首を狙ってくるだろう。
だから俺は九鬼水軍の船団と共に安芸厳島へ向かう。
それが元就の謀り事であったとしても構わん。その謀り事に乗ってやろうではないか。
元就よ、貴様の用意した祭りの舞台に立ってやろう。
貴様の望み通り、舞台の上で踊ってやる。
だが、その祭りの最後に舞台の上に残っているのは、貴様ではなく、朱里をこの手に抱いた俺だ。