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永遠の恋〜信長の寵妃【イケメン戦国】

第38章 愛しき日々



「信長様、奥方様、お久しぶりでございます!お怪我をなされた、と聞いて町の者は皆、心配しておりました。もうお加減は宜しいので?」

城下に逢瀬に出た時にいつも立ち寄る茶屋の女将さんが、私達を見つけて声を掛けてくれた。

「ああ、大事ない、かすり傷だ………皆には心配をかけたようだな」

「滅相もございません。ご回復なされたようで何よりです。
少し休憩して行かれませんか?主人が新しい菓子を拵えたんですよ」

「ん、もらおう」

信長様は鷹揚に頷きながら、いきなり私の肩を抱き寄せた。身体が触れ合って、信長様の香りが鼻腔をくすぐる。

「っ…信長様、人前ですよっ」

「構わん。貴様は俺の奥方なのだから、人前だろうと何だろうと、触れたい時に触れて、何の問題がある?」

若干胸を張り気味に宣言されて開いた口が塞がらないでいると、女将さんの楽しげな笑い声が聞こえてきた。

「相変わらず仲睦まじいご様子ですこと。
さあさあ、どうぞ。お茶とお菓子、すぐお持ちしますね」

店先の茶席に二人して腰掛けて待っていると、茶屋のご主人がお茶とお菓子を運んできてくれた。

「わぁ!すごく綺麗なお菓子ですね!」

菓子皿にのせられたお菓子を見て思わず歓声をあげてしまった。

「これは『紫陽花錦玉(あじさいきんぎょく)』という菓子でございます。錦玉とは、溶かした寒天に砂糖や水飴を入れて煮詰め、冷やし固めたものです。色を着けて賽の目に切ったそれを、丸めた白餡に付けて紫陽花の花に見立ててみました。
信長様には、いつも砂糖と水飴を融通して頂いているので、このような新しい菓子を考えることができております。
ありがとうございます」

「うむ、見事な出来だな。本物の紫陽花のような淡い色合いが表現できておる」

信長様の言う通り、淡い桃色や涼しげな青色の錦玉が散らされたその菓子はキラキラと美しく、雨に濡れた紫陽花のようだった。

「う〜ん、食べるのが勿体ないぐらい綺麗ですね!」

「ああ、味だけでなく目でも楽しめる菓子だな。今後も新しい菓子ができたら城へ献上致せ。楽しみにしておる」

「有り難きお言葉、励みに致しまするっ」

ご主人が深々と頭を下げて店の奥へと戻って行かれた後、二人でお菓子をいただく。

「うわぁ〜美味しいっ!寒天が爽やかでいいですね!白餡も上品なお味だし…幾つでも食べられそう…」

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