第37章 危機
恥ずかしくて顔を赤らめる私の頬に、手の甲で優しく触れてくれる。
(信長様が変なこと言うから、色々想像しちゃった…。
でもほんとこの旅での信長様はすごかったし、あり得なくもない…かな?
信長様との子供……可愛いだろうな、男の子でも女の子でも。
信長様が父親…って意外に甘々のお父様だったりして?)
妄想が膨らんで、無意識に頬が緩んでいたようで………
「貴様、何を想像している?顔が崩れてるぞ…いやらしいな」
「えっ!やっ、そんな想像してませんよっ!」
「くくっ、では一体どんな想像をしていたのやら…安土に着いたら、尋問してやらねばならんな……もちろん閨でな」
「やっ、もぅ…いじわるばっかり…」
伊勢では少し思い迷われていたところもあったけど、もうすっかりいつもの余裕たっぷりの信長様に戻られたみたいだ。
(意地悪だけど…そんな信長様が好き)
他愛ない話をして、触れ合って……そんな二人だけの時間がいつまでも続けばいいのに、と願いながら、腰に回された信長様の手に自身の手をそっと重ね合わせた。