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永遠の恋〜信長の寵妃【イケメン戦国】

第5章 湯治


盗賊達を縛りあげ、宿の主人が呼んだ役人に引き渡したあと、私達はようやく部屋へと戻ってくることができた。その間、信長様は私に対して一言も発せず、2人の間には気まずい沈黙が流れていた。

「っ、信長様、ごめんなさいっ」

部屋に入ってすぐ、私は信長様に深々と頭を下げて謝罪の言葉を述べる。

「…顔を上げよ。怪我はないか?」

「はっ、はい。信長様が助けて下さったから…大丈夫です」

赤い跡の付いた私の首筋に、信長様の視線が刺さる。忌々しげな表情で首筋に触れながら、深い溜め息を吐く。

「これは…治療が必要だな」

「っ、あっ、大丈夫です。大したことは…」

盗賊の男に首を吸われた時の気持ち悪さが込み上げてきて、今にも泣き出しそうな顔になった私に気づき、

「いや、俺が治療してやる。貴様は俺のものだ。俺以外の男が貴様に跡を残すなど…許されん」

信長様は私を抱き寄せ、赤くなった首筋に熱い唇を押し付ける。
そのままチューっと強く吸い付き、吸い上げる。

「っ、んっあっ、あぁ…」

(ただ口づけられているだけなのに……愛しい人にされるのはこんなに心地よい…)

「信長さま…ごめんなさい…」

「…俺は…貴様が盗賊に触れられているのを見て、怒りに我を忘れそうになった。他人に対してそのような気持ちになったのは初めてだ。…貴様に触れていいのは俺だけだ」

信長様は私の目をじっと見つめて熱っぽく語りかける。

「朱里、貴様は俺を好きだと言う。愛している、と。俺は…好きという気持ちは分からない…俺は…今まで誰からも好きと言われたことはないからな」

(…えっ?)

「俺は生みの母からも疎んじられ、愛された記憶はない。兄弟達も俺をうつけと侮り廃しようと刺客を送ってきた。俺は…俺の信じる道の為に兄弟達を殺め、母を追放した。天下布武を成すために何千何万の命を奪ったこの手は無数の血で染まっている。後悔はしていない。それが俺の成すべきことだったからな。俺は生まれてこの方、後悔などしたことはないし、今後もするつもりはない」
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