第34章 すれ違い
ほんのり赤く染まった頬を押さえて俯く朱里の顎を捉えて、上を向かせると、その唇をそっと塞ぐ。
「んんっ ふっあ……はぁ」
チュッチュッっと角度を変えて何度も啄みながら、薄ら開いた隙間から割り入れた舌で口内を舐め回す。
空いた手で夜着の上から身体を弄ると、既に熱く火照ったように体温の上がった朱里の身体がビクッと震える。
「朱里、俺は貴様以外の女は抱かぬ。
この唇も、この手も……ここも……全て貴様のものだ」
朱里の手を取って、己の唇、手、それから……下半身の膨らみへと導く。
そこは既に夜着の上からでも分かるぐらいに大きく膨らんで、その存在を主張している。
「っ、あっ……」
恥ずかしそうに手を引っ込めそうになるのを制して、自身の手を重ね合わせて夜着の上から膨らみを握らせる。
そのままスリスリと手を上下させると、布地越しに擦れた感じが堪らない。
「うっ、くっ……」
思わず声が漏れてしまう。
「……貴様以外の女が、この身に触れることはない。
俺が他の女を抱いたと思って、嫉妬したのか?」
艶やかな黒髪を手で梳きながら、意地悪げに問うてやる。
「……信長様が他の女(ひと)と交わるなんて…いやです。
貴方は…私だけのものなのに…
私だけを見て欲しい。
……私以外に触れないでっ」
熱の籠もった瞳で見つめながら、ぎゅっと抱きついてくる。
初めて見せるあからさまな独占欲に、心の臓を鷲掴みにされたように鼓動が早まり、身体の奥が燃えるように熱くなった。
「っ、貴様、どれだけ俺を煽るつもりだ?
俺は側室も側女も持たぬ、と言ったであろう?
貴様以外の女に夜伽を命ずることはない。
戯れに他の女に触れることも………ない」
「今、微妙な間がありましたよ?」
「些細なことだ、気にするな」
「信長様っ!」
「………うるさい口は塞ぐに限るな」
「えっ、あっ…んんんっ、や…」
髪を撫でていた手を頭の後ろに回して、ぐいっと引き寄せると少し乱暴に口付ける。
下唇を軽く食みながら、チュウっと強めに吸い上げていると、朱里の身体から力が抜けていくのが分かる。
くたりと足元から崩れ落ちそうになった朱里の身体を横抱きにして、寝所の方へ向かった。