第5章 湯治
「朱里、早く脱げ。何を今更恥ずかしがる必要がある」
「っ、待って下さい、心の準備が…」
信長様は、さも理解できないというかのように、若干イライラしてきている。
温泉に辿り着いた私達は立ち昇るお湯を前に、「入る」「入らない」と押し問答を繰り返していた。
(そんなこと言ったってまだ明るいし、信長様の目の前で自分から脱ぐなんて無理…)
「じ、じゃあ、信長様が先にお湯に入って下さい。その後に私も入りますから、後を向いて絶対見ないで下さいね!」
「貴様、俺に命令するとは良い度胸だな」
ブツブツ言いながらも、さっさと着物を脱いで湯に入る信長様。
(さすが信長様、迷いがないな。仕方ない、私も…)
チラッと見えた信長様の鍛えられた肉体にドキドキしながら着物を脱いで襦袢姿になる。
ゆっくりと湯に足をつけると、じんわりとした温かさが広がる。
「ん、気持ちいい。いいお湯ですね」
「ようやく来たか。貴様、俺をのぼせさせる気か」
グイッと腕を引かれて胸に閉じ込められる。そのまま胡座をかいた脚の間に座らせられて、背後から腰に手を回して抱き竦められる格好になる。
「あっ、やぁん」
後ろから熱い吐息を耳に注ぎ込まれ、ビクッと身体が震える。
脚の間に座っているせいで、お尻に信長様のモノを直に感じてしまった。
(っ、もうこんなになってるっ)
(いつも以上におっきいかも…信長様も感じてくれてるのかな)
背後から顎を掴まれ、唇を奪われる。息つく暇もないほどに深く貪られる。
「んっ、ふぁ、あ…んっ。や ぁん」
腰に回された手が徐々に下に降りていくのを感じて思わず身体が動いてしまい、チャプンとお湯が跳ねる音に我にかえる。
「あっん、信長さま、ぁ、こんなところで…っ、だめぇ」
「ふっ、貴様がのぼせても困るな。続きは部屋で…じっくりと、な」
あっさりと引き下がる信長様に少し拍子抜けしつつ、これから始まる長い長い夜を想像して、身体はいつまでも火照ったままだった。