第28章 甘い夜
その後も互いに触れ合ったり、甘い言葉を囁き合ったりして、ようやく二人して褥を出たのは、朝餉の時間も過ぎて陽が高くなり出した頃だった。
今朝は秀吉さんも気を遣ってくれたのか、信長様を起こしに天主に来ることはなかったので、人目を憚ることなく信長様に甘えてしまった。
(…幸せだな…こんなに満たされて…)
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「朱里、そういえば貴様、昨夜、『聞きたいことがある』とか言っていなかったか?」
着替えを済ませて身支度を整えた信長様が、急に思い出したように尋ねてくる。
(あ……どうしよう……昨日のこと、閨事の前だったし、覚えてらっしゃるとは思ってなかったな…
今、聞いてもいいのかな…)
「っ、覚えて下さってたのですね。
………あのっ、怒らずに聞いてくださいますか??」
「………………………内容による」
(さすが信長様っ…そこは甘くないんだ…)
聞くべきか聞かざるべきか……悩んで口を開こうとしない私に焦れて信長様が若干イライラし始める。
「朱里っ!言いたい事があるなら、早く言えっ!」
「は、はいっ、ごめんなさいっ」