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永遠の恋〜信長の寵妃【イケメン戦国】

第118章 青い花の秘密


「数年前、堺で噂を聞いたことがございます。異国の海を渡り歩き、莫大な財宝や珍品を集めている神出鬼没の集団がいると。商人なのか海賊なのかも分からぬ、その者らの船印がこの『三日月と七つ星』であったかと」

「宗伯の知る噂とも一致するな」

単なる噂話かと思っていたが、光秀も聞いたことがある話となると俄かに現実味を帯びてくる。

「完全に実在すると断言できるほどの確証はございませんが、南蛮貿易の裏に、正規の商人でも海賊でもない“影の交易”があるという噂は、以前からありました」

光秀の言葉に、宗伯が小さく唸る。

「影の交易…ですか」

「そうだ。表の海路では取引されていないはずの品が、時折、堺で密かに流通している。香料や秘薬、宝石、最新鋭の火器、そして、国の行末を変えるほどの情報までもな」

光秀の言葉に、朱里は冷たいものが胸の奥へ落ちていくのを感じた。噂話が少しずつ輪郭を持ち始め、得体の知れぬ恐ろしさに押し潰されそうになる。

「ただし…その者らの噂、最近はあまり耳にしません。彼らの活動拠点が他へ移ったのか、あるいは消滅したのか…謎に包まれたままです」

「なるほどな」

信長は海図から視線を上げると、静かに硝子の花を見つめた。

「これほどに手の込んだ細工、単に財宝の在り処を隠すためとは思えん」

その一言に、広間の空気がさらに張り詰める。

「私も同感にございます」

宗伯が深く頷く。

「南蛮の商人は金のためなら何でもいたします。ですが、このような精巧な硝子細工をいくつも作らせ、さらに海図を分けて隠すとなれば…よほど守る価値のあるものなのでしょう」

「…財宝でないのなら何を…?」

信長は朱里へ目を向ける。

「財宝だけなら、ここまで手の込んだ細工をせずともよいだろう。七つに分ける必要も、硝子へ封じる必要もない」

光秀も腕を組みながら頷いた。

「それに、わざわざ暗号めいたものまで仕込んでる。まるで盗まれることを前提に作られてるようだ」

「盗まれても、誰にも辿り着けぬようにな」

信長が海図を指で叩く。

「七つ全てを集められる者だけが目的地へ辿り着ける。逆に一つだけでは何の価値もないということだろう。面白い。我らを試そうというのなら望むところだ。この青き花の秘密、必ず暴いてやる」

その宣言と同時に、広間を吹き抜けた風が海図を揺らした。




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