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永遠の恋〜信長の寵妃【イケメン戦国】

第115章 紀州動乱


「朱里、京に着いてもお前は織田軍を離れるな。内裏に入る必要はない」

「えっ、それは…」

「お前は勅命に従い京へ赴く。それで織田の面目は立つ。どのみち関白殿とて毛利の包囲を潜り抜けて再び内裏へ戻る気はあるまい。あの御方は存外したたかなお人だからな」

光秀は前久に聞こえぬように馬上から身を寄せて朱里の耳元で悪戯っぽく囁く。

「っ……」

「みすみす敵の手の内にこちらから飛び込んでやる必要はない。安心しろ。お前の身が危うくなるようなことはしない」

戦へ向かう行軍中でありながらゆったりと余裕ありげに微笑んで見せる光秀に、朱里も城を出てから緊張で硬くなっていた表情をふっと緩めた。

「ありがとうございます、光秀さん。でも、私も織田軍の一員としてここにいるのですから、何もせずに守ってもらうだけでは嫌です。武器を取って戦えない私は足手まといかもしれませんが…兵達の救護や後方のこと、私にもできることはさせて下さい」

「お前ならそう言うと思っていた。そうしてくれると助かるが…くれぐれも無茶はするなよ?」

「はい!」

「では久兵衛、後方で朱里の護衛を頼む」

「お任せ下さい、光秀様」

京へ入れば、内裏を包囲する毛利軍と即座に戦闘が始まるだろう。元就は謀神と呼ばれる男だ。どんな罠を仕掛けているか分からない。自分と共に戦いの最前線にいるよりも後方にいる方がいくらか安全だろうと考え、朱里を久兵衛に託すことにした。
久兵衛は光秀が誰よりも信頼を置く腹心だ。

(傍を離れることは気掛かりだが、久兵衛に任せておけば大丈夫だろう)

大坂を発つ前に信長へは報せを出した。
大戦の勝敗が定かではない今、信長が京へ駆け付けられるかは分からないが、織田軍は天下に号令する者として京の町を戦火から守らねばならない。
明智の兵は多勢ではないが、海賊や傭兵を寄せ集めたような毛利軍に遅れを取ることはないだろう。

(元就はこれまでも幾度となく御館様の前に立ち塞がってきた。その度にとどめを差せず逃げられてきたが、そろそろ決着を付けたいところだ。御館様の道行きを邪魔する者は一人残らず排除する。毛利は無論のことだが、朝廷とて例外ではない)


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