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永遠の恋〜信長の寵妃【イケメン戦国】

第115章 紀州動乱


前線から引き揚げて来た家康が天幕の方へと向かう信長の姿を見つけ、声を掛けようとしたその時だった。

パァンッ…という乾いた破裂音が響く。

それまでガヤガヤと騒々しかった空間が一瞬、時が完全に止まったかのような静寂に包まれる。
何が起こったのか瞬時に頭が理解できぬまま無意識に視線を彷徨わせる中で、目の前の信長の身体が静止画のようにゆっくりと傾いていくのが見て取れた。

「信長様っ…」

家康は咄嗟に駆け寄り、自身の身体で信長の身体を覆うようにして庇いながら周囲に素早く視線を巡らせる。
最初の銃声は一発、続けての狙撃も十分に考えられたための対応だったが、幸いにも二度目の銃声は聞こえず、周囲に銃撃者の姿も見られなかった。

「何ぼんやりしてるの!信長様を早く天幕の中へ!すぐ止血しないと」

突然の出来事に水を打ったように静まり返り動けなくなっていた兵達に向かって家康は声を荒げる。
抱えた信長の身体の重みがずしりと腕にのし掛かり、心の臓がぎゅっと締め付けられるような息苦しさを感じる。
兵達を叱咤しながらも、家康自身も内心動揺を抑えられずにいた。

(しっかりしろ!怖気付いてる場合じゃないっ)

「信長様っ、しっかりして下さい!」

「くっ…」

信長は苦しそうに息を吐いている。甲冑の隙間から血が滲んでおり、咄嗟に押さえた家康の手は見る見る内に鮮血に塗れていく。
流れる血の色の鮮やかさに反して信長の顔色が青ざめてきているのが状況の悪さを物語っている。
信長は意識はあるものの呼び掛けに答えられる様子ではなかった。

(急所が外れていることを祈るばかりだけど…)

遠方からの狙撃だった。
至近距離からの狙撃に比べれば銃弾の威力は劣るはずだが、それでも標的を外していないところを見れば、撃ったのはかなりの腕前の者に違いなかった。


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