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永遠の恋〜信長の寵妃【イケメン戦国】

第115章 紀州動乱


「はっ、神や仏に認めてもらう必要などないわ。彼奴らに何ができる?祈るだけ、念仏を唱えるだけ、ただそれだけで救われるなど世迷いごとに過ぎぬ。俺は神も仏も信じぬ。信じるのは己の信念だけだ」

「己が信じる道のためならば、民を殺め、寺を焼き、破壊の限りを尽くしてもよいというのか?やはり貴様のような男は生きているだけで罪だな」

「信仰の名の下に無知な民を騙し戦に駆り立てる寺社の有り様こそ大罪であろう」

「黙れ!我が同胞達を愚弄するな!」

「くっ……」

顕如の錫杖の鋭い突きを間一髪でかわした信長は、体勢を崩すことなく返す刀で即座に斬り掛かる。
激しい言葉の応酬とともに繰り広げられる顕如と信長の討合いに、秀吉を始めとした周囲の者達は割って入ることもできず、固唾を呑んで見守るしかなかった。

「貴様ら寺社は何故に武家の争いに介入しようとする?そもそも貴様らが武装などせず中立を保っておれば、長きに渡る織田と本願寺の対立はなかったのだ。無用の争いで互いに多くの犠牲を払うことはなかっただろう。だというのに、漸く成った和議を破って此度再び兵を挙げるとは…いつまでも恨みの念に囚われて時節を見ようとせぬ貴様の愚かさ、それこそが罪ではないのか?」

「黙れ!我らが進んで戦に身を投じたと言うのか?白々しいっ…最初に卑劣な手段で仕掛けてきたのはお前達の方ではないか!力でねじ伏せれば言うことを聞くとでも思ったか?我が同胞への残虐な仕打ち、忘れたとは言わせんぞ!」

「待て。卑劣な手段とは何のことだ?こちらの話を聞かず一方的に兵を挙げたのはそちらの方だろう?」

「何を言う?我らの使者を無惨に斬り捨てておいて話し合いなどと…」

「使者を斬っただと?俺はそのような命令はしていない。こちらからの使者を一方的に追い返したのは貴様らだろう?」

「話にならんな。魔王の言うことなど誰が信用できようか。きっかけはどうであれ、我が同胞達は織田に多くの尊き命を奪われた。朝廷からの命ゆえに一度は貴様との和議に応じたが、彼らの無念を晴らさぬまま安穏と生きていくことなど、私にはできない」

「どうやら互いに腑に落ちぬことがあるようだ。だが、如何なる理由があろうとも、天下布武を妨げる者は退けるだけだ。俺の道行きを邪魔することは許さん」

「はっ、勝手なことを…これ以上貴様の好きにはさせん!」


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