第115章 紀州動乱
「分かった分かった。ならば城内で過ごすとしよう。さて、どうするか…」
この後の過ごし方を思案し始めた信長だったが、徐ろに腕を伸ばすと朱里の身体を引き寄せる。
「ひゃっ…な、何を…」
「貴様も共に考えよ。何をして過ごそうか…やはり囲碁がよいか?双六はどうだ?それとも…貴様はこちらの方がよかったか?」
ーちゅっ、くちゅっ…
「っ、んっ…」
いきなり口を塞がれると舌先でツーっと唇の上をなぞられる。
ゾクリと甘い痺れが背を走り、身体の芯がかっと熱くなるのを感じた。
「ふ…身体が熱いな。これはいかん」
「やっ、んっ…信長さまのせいです…」
柔く抗議の声を上げるが、唇に頬に首筋にと次々に這う舌の感触に気もそぞろになってしまい身体がぐらりと揺らぐ。
「おっと…ふらついているではないか。やはり横になった方がよいか…共に…な?」
「んっ…もぅ…意地悪ばっかり仰って…やっ…」
視界が反転し背中に畳の固さを感じて、押し倒されたのだと理解した時には愉しそうに喉奥を鳴らす信長様の顔が間近に迫っていた。
いつの間にか着物の袷に手が掛かっていて、指先が鎖骨の上をするりと滑る。
「の、信長様、まだ昼間で…」
「ああ、夜までたっぷり時間はあるな」
「そ、そうじゃなくて…」
「貴様を愛でるのに昼も夜もない。俺が貴様を癒してやる。貴様は何もせずともよい。ゆるりと身を委ねておればよい。暑さなどすぐに忘れさせてやる」
「そんなっ…んんっ、っ、は…」
重なる身体の熱さと深くまで奪い尽くすような口付けにクラクラと眩暈を感じてしまう。
夏の暑さ以上に熱くて濃厚な信長様の愛撫が身も心も全て焼き尽くしてしまうかのように、触れられたところが熱を上げる。
じんわりと汗ばむ肌を厭う余裕もなくなるほどに身体中を愛されている内に、いつの間にか気怠さが心地良く感じるようになっていったのだった。