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永遠の恋〜信長の寵妃【イケメン戦国】

第115章 紀州動乱


当時の織田家は、浅井、朝倉、三好、武田など四方八方から敵に囲まれながら、法主顕如の呼びかけに応じて各地で次々に蜂起する一向一揆への対応に追われており、まさに四面楚歌の状況だった。
本願寺との戦いで、信長は身内を含め有力な家臣達を数多く失っている。天王寺砦の合戦では信長自身も鉄砲傷を受けるなどし、雑賀衆は本願寺勢の主戦力として織田軍を大いに苦しめたのである。

そうした状況で雑賀衆を脅威に感じた信長は、大軍を率いて紀州に攻め入るが、奇襲、攪乱といった遊撃戦を得意とする雑賀衆に苦戦を強いられる。数で勝る織田軍に怯むことなく粘り強く抵抗する雑賀衆を攻めあぐねた信長は戦線が膠着し対陣が長引くことを嫌い、一旦は和議を結び兵を引くものの、再び雑賀に侵攻。二度に亘る大規模な侵攻であったが、織田軍は紀州を完全に制圧するには至らなかった。

雑賀との睨み合いが続くなかで、長きに亘る本願寺との戦いは朝廷の取次によって最終的に和議が成立し、顕如は摂津石山の地を退去して紀州鷺森へと移ることとなった。
和睦したとはいえ、互いに多くの犠牲を払った信長と顕如との間にわだかまりが完全になくなったとは言い難く、内には複雑な感情を抱きながらも、和議のあと織田と一向宗は表面上は友好的な関係を保っていた。
顕如は激しい戦いで散っていった数多くの同胞(はらから)達の冥福をひたすらに祈る日々を送っているという。

雑賀はその後、織田に与するか、抵抗を続けるかで五つの組の間で内部対立が起こり分裂状態となったが、表立って織田に戦を仕掛けるような仕儀にはならなかったため、信長は事態を静観し、再び雑賀に攻め入ることはしなかった。
内部分裂を経て弱体化し、往時ほどの支配力を失った雑賀であったが、紀州は織田家の監視の下ではあるが、いまだ独立自治を保っている。
だが、雑賀が再び団結し、本願寺などの寺社勢力と結び付いて政に介入して天下静謐を脅かすような事態になれば、信長が躊躇うことなく両者を攻め滅ぼすだろうことは自明の理であった。

そうした危うい均衡を保つ状況下で突如もたらされた此度の『紀州不穏』の一報に、信長は即座に動いた。


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