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永遠の恋〜信長の寵妃【イケメン戦国】

第108章 離れていても


「うわぁ…母上、あれなあに?綺麗な光がいっぱい飛んでるよ!あっちにも…わぁ、あそこにもある!」

「ぴかぴか!おほしさま?ぴっかぴか!」

廻縁に出た二人は、遠くの空を食い入るように見つめて歓声を上げた。少し背も高くなった結華は欄干に手を掛けて精一杯の背伸びをしながら、彼方に見える光の玉を指差しては興奮したように声を上げていた。小さな吉法師は私の腕の中で身を捩り、遠くに見える小さな光に可愛らしい紅葉のような手を必死に伸ばしている。
外に出るにあたり寒くないようにと綿入りの暖かな羽織を着せ、首元を冷やさないように襟巻きをぐるぐる巻きに巻いた子供達の愛くるしい姿に、思わず私の顔も綻ぶ。

不思議な光の玉は少しずつ数を増やしながら、ゆらゆらと揺らめいている。星の瞬きに勝るとも劣らない美しさの柔らかな光は見ているだけで穏やかな気持ちになり、身体の奥からじんわりと温もりが広がっていくようだった。

「綺麗だねぇ…」

ずっと見ていても少しも飽きることなく見ていられるこの不可思議で魅力的な光は、無邪気な子供達は勿論のこと、私の心も惹き付けて止まなかった。

(この光が何なのか、それは分からないけれど…遠く京の地から信長様が贈って下さった私への祝いの品なのだろう。予想もしなかった素敵な光の贈り物だわ。こんなにも美しい光景を見られるなんて…)

「母上っ、まるで本当の蛍みたいに綺麗だね!これが父上からの贈り物?」

興奮して上気した顔を綻ばせて結華が言う。

「ふふ…きっとそうね。冬の蛍だなんて父上様らしい珍しい贈り物だったわね。貴女達の父上様は人が思いも寄らないことを最(いと)も簡単に成し遂げてしまわれるお方だから」

信長様も今頃、京で同じようにこの空を見上げていらっしゃるのだろうか。
この空を、美しく煌めく光を、今この瞬間、同じものを見ているのだと思えば、愛する人と離れている寂しさも薄れていく。
同じ空の下、大切な人達が互いに繋がっている、それが途轍もなく幸福なことだと思わずにはいられなかった。

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