• テキストサイズ

永遠の恋〜信長の寵妃【イケメン戦国】

第108章 離れていても


「朱里、そんな遠慮ばっかりしなくていいんだぞ?俺たちは皆、お前を祝いたくてやってるんだ。お前は御館様の最愛であると同時に俺たちにとっても大事な存在なんだから、皆で生まれ日を祝うのは当然だ」

「秀吉さん…」

優しい気遣いの言葉にジンっと胸が熱くなる。

「とはいえ、この雪では御館様のお戻りはいつになるか…朱里には悪いが誕生日までにお戻りになるのは難しいかも知れないな」

「それは…仕方がないよ。天気ばかりは人の手ではどうしようもないもの。信長様に無理はして欲しくない。私は信長様が無事にお帰りになられたらそれだけで充分だから」

「そうだな。御館様の御身が第一だからな。それにしても京の様子が皆目分からんのは困ったな。街道が雪に閉ざされてしまっては文のやり取りも難しいとはいえ、何の連絡もないとは光秀の野郎、何をやってるんだ!朱里も心配してるっていうのに…なぁ?」

「う、うん…そうだね」

不満げに顔を顰める秀吉さんに私は曖昧に頷くほかなかった。

京でのおおよその滞在予定は聞いていたが、予定の日が過ぎても戻られないだけでなく京からは何の音沙汰もないのだ。更にはこちらから文を出しても返事も帰ってこない。この天候では雪に阻まれて飛脚が足止めされているのかもしれなかったが、事情が分からないままでは不安ばかりが募って仕方がなかった。

「ひ、秀吉さん、此度の御上洛には忍びの方は護衛として同行していないの??ほら、忍びなら狼煙か何かで連絡とか…できたりしない?」

不機嫌そうな秀吉さんに、佐助くんから聞いたうろ覚えの忍びの知識を持ち出して聞いてみる。
(というか、狼煙ってどれぐらいの距離離れてても見えるんだろう?京からじゃ、さすがに遠すぎるか…)

「ん?ああ、それは勿論、護衛はお付けしてる。御館様のお傍を片時も離れぬように命じてあるが狼煙はどうだろうな…そりゃ、上げるには上げられるだろうけど、予め申し合わせてなかったら狼煙が上がっただけじゃ何の事か分からないだろ?」

「そ、そうか…そうだよね」
(うっ、やっぱり無理か…いい手だと思ったんだけどな)

陸路が閉ざされているなら空から…と思ったのだが、そんなに簡単ではないようだ。
思うようにならないもどかしさに、京と大坂は近いようで遠いのかと思わずにはいられなかった。


/ 1937ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp