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永遠の恋〜信長の寵妃【イケメン戦国】

第107章 嫉妬は甘い蜜の味


「茶か…それは良いな。では甘味も一緒に頼む」

「あ、はい!何がいいですか?食べたいものを仰っていただければ私、作りま…すっ…んんっ!」

珍しく信長様の方から求められたことが嬉しくて、お好きなものを作って差しあげたいと声を上げた私の唇を、信長様が横から掠めるように奪った。

「な、何を…!?」
(廊下の真ん中で…しかも吉法師の目の前で…口付けなんて!)

「甘味を先に味見したまでだ。俺にとっての極上の甘味は貴様だ。後でもっと寄越せ」

「っ……もぅ…」

ニヤリと口の端を上げて不敵に笑う信長様はどこまでも素敵で、吉法師の前だというのに私はうっとりと見惚れてしまう。
信長様の大胆な愛情表現に羞恥で熱くなってしまった顔を隠すため、その後の私は終始俯きがちだった。




大晦日の夜
昼間の慌ただしさが嘘のように城内は静寂に包まれ、凛として澄んだ空気の中、年が明ける瞬間が刻一刻と迫っていた。
今日は大晦日ということで城で働く者達にも早終いをさせ、湯浴みも早めに済ませていた。

「信長様、どうぞ」

徳利を手に信長様に声を掛けると、ゆったりと盃が私の方に向けられる。
トロリと瀞みのある濁り酒を注ぐと、信長様は軽く口をつけて口内で味わうようにしてから飲み下ろした。

「濁り酒か、珍しいな」

「いつものお酒と違い、信長様には少し甘く感じられるかも知れませんが…こちらは最近城下で人気のあるお酒だそうですよ。如何ですか?」

「ん…米の甘みと旨みが強く感じられて良いな。香りも豊かで口に含むとふわりと広がる。口当たりは甘くて飲みやすいが、これはなかなか強い酒だぞ?」

「えっ…そうなのですか?じゃあ、飲み過ぎないようにしないといけませんね」

「ああ、早々に酒に酔っては貴様を夜通し愛でられぬからな」

「や、もぅ…信長様ったら…」

唇に付いた酒の雫を舌先で舐め取りながら妖艶な流し目を送られて身体の奥の深いところが甘い期待にジュクッと疼く。

(毎年、年が明ける瞬間は信長様に愛されているから…)

除夜の鐘を覚えていないほど乱されてしまう毎年の年越しの夜を思い出し、かあっと身体が熱くなる。

「今年ももうすぐ終わりますね」

甘い期待に疼く身を誤魔化しながら信長様に話しかけた。


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